鳥取市の観光名所、鳥取砂丘で、今年の夏も観光客の熱中症対策が強化されている。猛暑が続く中、砂丘の砂面温度は50度を超えることもあり、県職員で構成する「砂丘レンジャー」による見守り活動に加え、ドローンを用いた空からの監視や、入口付近での冷たい飲料の提供など、多面的な対策が実施されている。
現場での具体的な対策
県が明らかにした運用状況によると、砂丘レンジャーは現在8人体制で、1日あたり3〜4人が交代で午前9時から午後4時30分まで巡回に当たる。砂丘内で体調不良を示す来訪者を早期に発見し、応急処置や搬送手配を行うのが主な任務だ。実際に保冷剤を用いた応急処置や、移動が困難な来訪者への運搬車手配が行われている。
空からの見守りは2023年から導入され、専門業者に委託してドローンを運用。午前10時から午後5時まで、1時間おきに約20分間の飛行を実施し、約200倍のズームカメラで来訪者の様子を監視、必要時には拡声器で注意喚起を行う。
利用者の声と増える対応件数
7月下旬の現場取材では、訪れた観光客から「暑い」「異常な暑さだ」といった声が相次いだ。現場でのやり取りからは、持参した飲料が尽きてしまうケースや、頂上付近までの往復で体力を消耗し立ち止まる来訪者が確認されている。
「暑いです。めちゃくちゃ暑いです。異常ですね、年々暑くなって。」
県によれば、今シーズン(21日まで)に砂丘で確認された熱中症対応件数は22件で、このうち運搬車を使った搬送は4件。2025年同時期と比べ搬送件数は2倍以上となっており、今年の暑さが一段と厳しいことを示している。
陸上での支援と予防呼びかけ
陸上側では、7月19日から8月30日までの土日・祝日およびお盆期間中に、砂丘入口の階段付近でスポーツドリンクや冷水などを対面販売する「熱中症予防声かけプロジェクト」を展開。販売は来訪者がその場で素早く水分補給できるようにするためで、現場では冷えた飲料が好評だという。関係者は飲料の提供に加え、職員やボランティアによる積極的な声かけで予防効果を高めたいとしている。
- 砂丘レンジャー:常時見守り、応急処置、搬送手配を実施
- ドローン監視:午前10時~午後5時、1時間おきに約20分飛行
- 熱中症予防プロジェクト:土日祝とお盆に入口で冷飲料を販売
住民と観光客への影響と必要な準備
観光客側の影響は直接的だ。砂丘は海寄りの「馬の背」など高低差のある散策ルートが人気で、往復で約1キロ近く歩くコースもある。日陰がほとんどないため、帽子・日傘・十分な水分・冷却材といった備えが必須だ。特に小さな子どもや高齢者、体力に自信のない人は、頂上までの無理な往復を避ける判断が必要である。
地元事業者への影響も無視できない。猛暑による来訪者の滞在時間の短縮や、体調不良による観光消費の減少は地域経済にとってマイナスとなり得る。県と観光関係者は安全対策を徹底することで、安心して砂丘観光を楽しめる環境を整える狙いだ。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 砂丘レンジャー人員 | 8人 |
| 今季の熱中症対応件数(~7/21) | 22件 |
| 運搬車での搬送件数 | 4件 |
県担当者は、陸と空の連携による監視体制が効率的な巡回と早期発見につながっていると説明する。ドローンの導入により、砂丘全体を効率的に把握できるようになったことが救命対応の迅速化に寄与しているという。
今後も厳しい暑さが予想されるため、県は来訪者に対して事前の情報収集と十分な熱中症対策を強く呼びかけている。観光シーズンの安全管理と地域振興の両立が、当地の当面の課題だ。
(取材・文/長谷川 豊)