クレジットカード決済代行会社「株式会社全東信」が破産手続開始決定を受けたことを受け、堺市は、同社サービスを利用している市内中小企業や個人事業主を対象にした特別相談窓口を開設した。カード決済で回収すべき売上金の入金が滞ると、即座に資金繰り悪化を招く恐れがあり、市は早期の相談を呼び掛けている。
堺市と関係機関の対応
堺市は地域の中小事業者の資金手当てや経営相談に対応するため、公益財団法人堺市産業振興センター(金融支援課)に特別相談窓口を設置した。相談内容に応じて、堺市中小企業融資制度などの公的融資メニューの紹介や、必要に応じて産業振興センターの経営支援専門家へのつなぎを行うとしている。
- 堺市産業振興センター(金融支援課)電話:072-255-8484
- 堺商工会議所(中小企業振興部 経営支援課)電話:072-258-5503
影響の規模と背景
帝国データバンクの報告によれば、全東信は7月6日に大阪地裁へ準自己破産を申請し、同日に破産手続開始決定を受けている。申請時の負債総額は約1151億6400万円とされ、2026年に判明した倒産事案としては大規模な部類に入る。全東信は2006年に設立され、飲食店などの加盟店に対し、カード会社からの支払を待たずに売上代金を入金する決済前払いの仕組みを提供していた。
| 年 | 収入高(概数) |
|---|---|
| 2020年3月期 | 約80億円 |
| 2021年3月期 | 約50億円 |
新型コロナウイルス流行下で飲食店の営業が制約されたことなどを背景に収入は減少し、複数期で営業段階から赤字計上となった。2024年には、通常の審査で加盟店契約を結べない店舗を他人名義で契約したとして社員らが逮捕され、同社は組織犯罪処罰法違反の疑いで書類送検されるなど信用不安が表面化していた。
中小事業者がまず確認すべき点
全東信を経由してカード決済を行っていた事業者は、以下の点を優先して確認・対応することが重要だ。
- 取引先(全東信)に対して、未入金となっている売上金の状況と債権の保全状況を確認する。
- 資金繰りが一時的に立ち行かなくなるリスクを想定し、早急に融資や運転資金の相談を行う。
- 代替の決済手段や取引先との決済条件の見直しを検討する。
堺市は、自治体窓口に加え、国の支援窓口や日本政策金融公庫の相談窓口も利用できることを案内している。緊急の資金需要がある場合は、公的融資制度の活用や民間金融機関との連携が選択肢となる。
地域経済と雇用への波及リスク
全東信の破産は、特に飲食業などカード決済の比重が高い業種で即時的な影響が想定される。未回収の売上が資金繰り悪化を招き、従業員の雇用維持や仕入れの継続に支障が生じる恐れがある。堺市内の事業者は、支払い遅延や回収不能のリスクを踏まえ、早めに相談窓口を利用することが経営維持の観点から重要だ。
堺市は、影響を受ける中小企業や個人事業主に対し、融資や経営相談などの支援を案内するとしている。
今回の事案は決済インフラが事業者の資金繰りに直結する事例であり、地域全体で早期に被害を食い止める取り組みが求められる。まずは状況把握と地元窓口への相談を優先し、必要な支援を速やかに受けることが肝要だ。