初の訓練で運用手順と安全確認 市は継続実施を表明
相模原市は、改正鳥獣保護管理法で新設された緊急銃猟制度に基づき、市内で初めての図上・実地訓練を実施した。訓練は5月から津久井、藤野、相模湖、城山の4地区で行われ、7月2日に城山地区で実施された屋外訓練には猟友会の会員らを中心に43人が参加した。市緑区政策課は、万が一に備えて今後も継続して訓練を行う方針を示している。
緊急銃猟制度の要点と訓練の内容
緊急銃猟制度は、次の要件がそろう場合に市町村長が銃猟を委託できる仕組みだと市は説明する:①危険鳥獣(クマ、成獣のイノシシ等)が生活圏に侵入している、②人の生命・身体への危害を防ぐため緊急の措置が必要、③銃猟以外の方法での捕獲が困難、④地域住民等に弾丸が到達するおそれがないこと。訓練では座学でクマの生態や行動特性を学び、対応マニュアルを確認した上で、屋外で発見から銃猟までの流れをシミュレーションした。
地域への影響と参加者の声
訓練参加者らは、現場での具体的な確認事項の多さを指摘した。例えば、どの地点から発砲するか、使用する銃の種類、発射方向や角度の取り方など、弾丸の到達可能範囲を踏まえた詳細な検討が必要だという意見が挙がった。県猟友会津久井支部の小坂義和支部長は「撃つまでに時間は要するが、銃猟ができることは市民の安全につながる」と述べ、制度の意義を強調した。
「市民の安全につながる」
市内の出没状況と注意喚起
今年度のクマ通報件数は市全体で8件、そのうちクマと確認できたのは3件で、いずれも緑区内の確認だった。確認日の記録は次の通りである。
| 確認日 | 確認地点 |
|---|---|
| 6月9日 | 牧野 |
| 6月24日 | 青根 |
| 6月25日 | 青野原 |
うち2件は自動車走行中のドライブレコーダー映像から確認された事例で、市は市街地での目撃はないと説明する。ただし市は、カキやクリ、クワなどの食べ物を放置しないことや、耕作放棄地をそのままにしないなど、クマと人間の「住み分け」を徹底するよう住民に注意喚起している。
住民への実用的な助言と連絡先
- 果実類や食べ物は屋外に放置しない。
- 山間部や郊外へ出かける際はクマの出没情報に留意する。
- 耕作放棄地の管理や不用意な餌付けを避ける。
万一クマを目撃した場合の連絡先は次のとおり。110番または津久井警察署(電話:042-780-0110)、緑区政策課(電話:042-775-8852)へ連絡するよう市は呼び掛けている。
背景と今後の見通し
近年、全国的にクマの人里への出没や人身被害が増えており、2023年度は人身被害が過去最多となった点が制度改正の背景にある。国が改正を行い緊急銃猟制度を導入したことを受け、相模原市では地域事情に合わせた運用と安全確認のために今回の訓練を実施した。市緑区政策課は今回の訓練を踏まえ、来年度以降も同様の訓練を継続して行う予定を示している。
住民にとって重要なのは、制度の存在を知ることと、日常生活での具体的な対処を徹底することだ。訓練は実際の現場での物理的安全確保や判断の難しさを示した。発砲に至るまでには時間を要するケースがあり、地域側でできる予防策を進めることが被害防止の第一歩となる。
相模原市は今後も情報提供と啓発活動を続ける方針であり、住民は市の発表や通報体制を把握しつつ、果樹や餌となる食品の管理、不要な接近を避けるといった基本的な対応を心掛ける必要がある。