県対策委が県教委へ答申、部活内の共有不足とSNS誹謗中傷が問題
佐賀県内の県立高校で発生したいじめについて、県いじめ問題対策委員会は10日、2件を重大事態に認定し、調査結果を県教育委員会に報告した。委員会は、部活動内での指導・対応が限定的であったことや、SNS上での身元を特定される形の情報公開による誹謗(ひぼう)中傷が被害を深刻化させた点を問題視している。
1件は唐津東高で発生した部活動内のいじめ。複数の加害生徒が被害生徒に対してあだ名を付ける、虚偽の活動開始時間を伝える、スマートフォンの暗証番号を誤入力して使用不能にするなどの行為を行ったとされる。県教委は被害生徒が計67日間の欠席を余儀なくされたとして重大事態に認定した。
調査では、当初被害生徒の保護者が担任へ相談したのは25年2月下旬だったが、保護者はそれ以前に顧問へ相談していた。顧問は部員への指導にとどめ、校内で関係職員への情報共有が行われなかったため、学校全体での把握と対処が遅れた点が指摘された。
もう1件は県立高の生徒が、知り合いの他校生徒1人からSNS上で身元が分かる情報を公開され、誹謗中傷を受けた事案。被害生徒の保護者は25年8月に担任に相談し、事案が発覚した。被害生徒は30日以内の欠席を余儀なくされ、医師からうつ病やPTSDの診断を受けたとして重大事態に認定された。
県教委は「プライバシーの観点から事案によっては詳しい説明はできない」としている。
今回の答申は、学校内の情報共有の在り方やSNS対応の強化が喫緊の課題であることを改めて示した。教育現場では被害の早期発見と関係者間の確実な連携が求められるが、今回のように顧問と校内管理職の間で情報が滞ることで対応が後手に回り、被害が長期化するリスクが高まる。
住民・保護者にとっての影響と具体的な留意点
今回の事案は、以下の点で地域の家庭や学校に直接影響する。
- 被害生徒の長期欠席や精神的影響が確認されており、同様の兆候が見られた場合は早期相談の重要性が増す。
- 顧問や担任だけでなく、学校全体で情報を共有する仕組みの点検が必要になる。
- SNSでの個人情報の取り扱いや誹謗中傷への対処法を家庭と学校で周知する必要がある。
保護者は、児童・生徒の欠席や様子の変化に気づいたら、早めに担任だけでなく学校の相談窓口やスクールカウンセラーに連絡することが望ましい。また、顧問や部活動の指導体制に関して懸念がある場合は、学年主任や校長と面談の場を設け、記録を残すことが被害把握と早期解決につながる。
県教委・学校の対応に求められる点
今回の答申が示す課題は、手順と責任の明確化、情報共有の仕組み整備、SNSを含む外部環境への備えだ。具体的には、次のような点が挙げられる。
| 課題 | 期待される対応 |
|---|---|
| 校内共有の不備 | 顧問から教職員へ確実に情報が伝わる体制の明文化と研修 |
| SNSによる被害 | 児童・生徒向けのデジタルリテラシー教育と通報窓口整備 |
| 被害生徒の支援 | 医療・心理支援の連携強化と復学支援プランの整備 |
県いじめ問題対策委は今後、県教委と協力して再発防止策を検討するとみられる。学校側は、部活動や日常の指導での記録保全や第三者への相談ルートを明確にしておく必要がある。
地域にとって重要なのは、被害を受けた家庭が孤立しないことだ。学校・教育委員会は透明性を確保しつつ、被害者保護を最優先にした対応を進めることが求められる。保護者や地域住民も、子どもたちの変化に敏感になり、異変を見つけた場合は出入口を複数持つ形で学校へ連絡する姿勢が必要だ。
(西村 剛、佐賀県担当記者)