京都府内に住む60代の女性が、SNS(フェイスブック)で知り合った人物に投資を持ちかけられ、結果として約1億9500万円を送金する被害に遭っていたことが警察の調べで分かった。被害は2025年6月ごろから始まり、複数回にわたる送金が行われたという。
経緯と手口
警察によると、女性はまずフェイスブック上で男性を名乗る人物と接触し、親近感を抱いた。その後「金(ゴールド)などの取引で利益が出る」といった内容で投資の勧誘を受け、指示されたサイトへ約10万円分の暗号資産(仮想通貨)を送金したところ、画面上で利益が出ているように表示された。
警察によりますと、京都府に住む60代女性は2025年6月ごろ、フェイスブックで男性を名乗る人物と知り合い親近感を抱きました。
表示された利益を信じた女性は、以後も「利益に対する税金」などの理由で追加の送金を求められ、複数回にわたり金銭を移動させた結果、合計で約1億9500万円が相手側に渡ったとされる。短期間に大口の送金が続いたことで金融機関が不審に思い、女性に連絡を入れたことが転機となった。家族に相談したことで詐欺が判明し、被害が表面化したという。
被害の特徴と住民への影響
今回の事例は、いわゆる「SNS型ロマンス詐欺」と投資を組み合わせた典型的な手口を示している。ポイントは次の通りだ。
- 被害者と加害者の接触がSNS上で始まるため、信頼関係が比較的短期間で構築されやすい。
- 暗号資産や海外口座を用いることで追跡や回収が難しくなる。
- 「税金」や「手数料」といった名目で何度も送金を促す手口が多い。
こうした手口は、特に金融取引や暗号資産に馴染みの薄い高齢者をターゲットにする傾向があるため、地域社会全体での注意喚起が必要だ。個人の預貯金や貴金属、家屋などの生活基盤に大きな影響を与えかねない金額であり、被害が長期化すると家族関係や介護・生活支援の必要性にも波及するおそれがある。
警察・金融機関の関与と早期発見の要因
今回の被害発覚に至った要因として、金融機関の不審察知と家族の介入が挙げられる。短期間で大口の送金が続いたため金融機関側が取引を精査し、当該女性へ連絡をとった。被害者自身がすぐには詐欺と気づいていなかった点から、外部からの指摘が早期発見に寄与したことが明らかだ。
金融機関や関係機関は、不審な取引を察知した際の連携と、利用者へ対する丁寧な説明・助言が重要である。特に暗号資産取引は一度送金されると取り戻しが困難な場合が多く、警戒が必要だ。
被害防止のためにできること
今回の事例を踏まえ、住民が日常的に実践できる防止策を整理する。
- SNSで知り合った相手から金銭の送金や投資の勧誘があった場合は、一度立ち止まり第三者(家族や金融機関、警察相談窓口)に相談する。
- 暗号資産や海外送金は、仕組みやリスクを十分に理解してから行う。内容に不審点があれば送金しない。
- 金融機関から連絡があった場合は丁寧に内容を確認し、必要なら窓口で直接相談する。
また、次のような具体的行動も有効だ。
| 行動 | 効果 |
|---|---|
| 家族や信頼できる友人に相談 | 第三者視点で冷静な判断が得られる |
| 金融機関に取引内容の確認を依頼 | 不審取引の早期検知につながる |
| 警察の相談窓口に連絡 | 被害届や相談による情報共有で同種被害の抑止 |
地域社会の役割と今後の対応
地域の自治体や高齢者支援団体、金融機関は連携して啓発活動を強化する必要がある。説明会やリーフレットの配布、相談窓口の周知など、被害に遭いやすい層へ届く取り組みが求められる。被害が発生した場合も、早期に関係機関へ相談することで被害拡大を防げる余地がある。
今回の被害は金額の大きさから注目される一方で、類似の手口は全国で繰り返されている。SNSでの出会いに伴う経済的被害を防ぐため、冷静な判断と周囲との連携が重要だ。
(取材・文=石川 真央/プレスリリースジェーピー京都府担当記者)