テクノロジー

フィリップスが心臓カテーテル向け高画質技術を日本で発売

フィリップス・ジャパンは、心臓カテーテル治療向け血管撮影装置に組み込める新画像技術「SmartIQ Technology」を7月14日から国内販売開始。高画質と被ばく・造影剤低減を両立する点を前面に打ち出した。

フィリップスが心臓カテーテル向け高画質技術を日本で発売
©イラスト AI生成 :編集部/プレスリリースジェーピー

フィリップス、心カテ治療向けに高画質と負担軽減を両立する新技術を発売

(株)フィリップス・ジャパンは、心臓カテーテル治療向け血管撮影システム「Azurion」に搭載可能な新たな画像処理技術「SmartIQ Technology」を2026年7月14日から国内で販売開始した。国内では高齢化を背景に心血管疾患の患者が増える一方で、手技に伴う被ばく線量や造影剤の使用抑制、手技時間短縮などの要請が強まっており、今回の製品投入は臨床現場のニーズに応えるものと位置づけられる。

同技術は、臨床現場と主要心血管センターとの共同開発で得られた知見を基に、リアルタイムで動作する画像アルゴリズムを用いることで、複雑な心血管インターベンションにおいても臨床的に必要な画質を確保しながら放射線被ばくや造影剤量を低減できる点を特徴とする。フィリップスは、従来装置への後付け導入が可能である点も強調している。

  • 高画質化アルゴリズム:臨床データとX線物理の数理モデルを組み合わせ、重要な画像情報と背景ノイズを識別して画質を向上させる。
  • 低線量透視プロトコル:透視レベルのX線量でも画質を維持するためのノイズ処理を行い、被ばくの抑制を支援する。
  • 低造影剤対応:低濃度造影剤使用時にも重要なコントラストを選択的に強調し、診断・治療に必要な情報を保持する。

設計面では、画像処理後の画像とオリジナル画像を継続的に比較する仕組み(同社名称:SafeGuard)を備え、処理による臨床情報の変化がないかを監視することで安全性に配慮している。術者が現場で状況に応じてプロトコルを選べる点も想定されており、ルーチン検査から複雑な冠動脈インターベンションまで幅広く適用できるという。

項目主な説明
製品名SmartIQ Technology(Azurion搭載可)
販売開始日2026年7月14日
医療機器認証番号228ACBZX00012000

同社は今後、学会展示を通じて臨床現場への普及を図る予定で、2026年度の学会行事としてCVIT 2026(日本心血管インターベンション治療学会)などでの出展を予定していると明らかにした。既存のAzuri onシステムを使用する施設でも導入が可能であることから、更新コストを抑えつつ性能向上を図れる点が導入検討時のポイントになる。

背景と期待される臨床的インパクト

日本は高齢化が進展する中で、心血管疾患に対するカテーテル治療の需要が増加している。こうした治療は低侵襲であることから患者の回復負担を低減する利点がある一方、手技中のX線被ばくや造影剤投与は患者・医療スタッフ双方にとって継続的な課題である。特にこれまでの装置では画質と被ばく削減はトレードオフになりがちで、低線量化を図ると診断に必要な情報が失われる恐れがあった。

今回の技術は、ノイズと臨床的に重要な信号を分離する数理モデルを用いる点で従来手法と異なるアプローチを示している。これにより透視レベルの低線量撮影でも臨床上必要な画像情報を維持できれば、術者の判断精度を損なわずに患者やスタッフの被ばくを低減できる可能性がある。また、造影剤の使用量を抑えられれば、腎機能に制約のある患者への安全性向上にもつながる。

一方で、現場導入に当たっては以下の点が留意される。

  • 実臨床での評価データや長期的な臨床アウトカムの蓄積が必要であること。
  • 既存システムへの適合性や運用ワークフローの見直し、術者と支援スタッフの習熟が求められること。
  • 導入コストと期待される被ばく・造影剤削減効果の費用対効果の検討。

フィリップスは発表資料で、主要な心血管センターとの共同検討を基に設計したことを強調している。学会展示や実地評価を通じて、臨床現場での有効性と安全性に関する知見が今後さらに蓄積されることが期待される。

今後の見通し

医療現場では、画像処理技術の進化とともに診断・治療の質向上や患者負担低減の実現が急務となっている。新たなアルゴリズム中心のアプローチが実用化されることで、被ばくや造影剤量という従来の制約を緩和できれば、より多くの患者に対して低侵襲治療を安全に提供できる可能性が広がる。

ただし、普及のスピードは各病院での臨床評価、機器更新の予算配分、術者の受容性など複数の要因に左右される。フィリップスは学会等での展示を通じて情報提供を進める方針であり、今後の実地報告が導入判断における重要な材料となるだろう。

(取材・文=全国編集部 テクノロジー担当)

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