公社、入居者サービスと業務改革を両立へ
大阪市中央区に本社を置く大阪府住宅供給公社は、2026年8月1日付で地方住宅供給公社として初めて、国の定める「DX認定」を取得した。公社が管理する公社賃貸住宅『SMALIO(スマリオ)』を対象に、デジタル技術を活用して入居者サービスの利便性向上と事業の持続可能性を図る取り組みが認められた形だ。
DX認定は、国のデジタルガバナンス・コードに基づき、業務変革の準備が整った事業者を評価する仕組みであり、公社は2022年度の中期経営計画でESG経営の一環としてDX推進を掲げてきた。今回の認定は同計画に基づく実務的な成果が評価されたものとみられる。
具体的な取り組みと住民への影響
- 入居者専用アプリ「My SMALIO」:2025年に導入。契約内容確認、各種届出・申請、書類送付、問い合わせなどをオンラインで行える環境を整備し、来所・電話に加えオンラインでの手続きが可能になった。
- 集会所のスマートロック化:一部集会所で外部予約プラットフォームと連携したスマートロックを導入。予約時に開錠コードが自動発行され、鍵の貸借が不要になっている。
- 生成AIの業務支援活用:職員の判断や対応を補完する業務支援基盤として生成AIを位置付け、人が担うべき相談や企画、判断など付加価値の高い業務に注力できる環境づくりを目指す。
これらの措置により、入居者は窓口に出向かずに契約や手続きが完了するケースが増える見込みだ。特に子育て世帯や高齢者、日中の来所が難しい勤務者にとって利便性が向上する一方で、デジタル機器への対応が課題となる入居者への支援策が重要になる。
「入居者サービスの利便性向上と、業務の効率化・高度化を継続して進めます。」
行政・事業運営の観点と課題
公社は今回の認定を通過点と位置付け、デジタルと人的対応の組合せで将来にわたる持続可能な住宅サービスの提供を目指すとしている。評価される一方で、以下の点が今後の検討課題として残る。
- データ管理・プライバシー:入居者情報や利用履歴の適切な管理と外部サービス連携に伴うセキュリティ対策。
- 住民支援とデジタル格差:高齢者やITリテラシーの低い入居者に対する操作支援や代替手続きの整備。
- 業務・人員配置の最適化:生成AIを導入する際の職員教育と業務フローの見直し。
導入の経緯と今後の見通し
公社は2022年度の中期経営計画でDX推進を掲げ、2025年に入居者アプリを導入、集会所のスマートロック導入など段階的にシステム化を進めてきた。今回の認定はこうした取り組みが一定の実効性を持つと認められたものだ。
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 2022年度 | 中期経営計画でDX推進を明記 |
| 2025年 | 入居者アプリ「My SMALIO」導入 |
| 2026年8月1日 | 地方住宅供給公社として初のDX認定取得 |
公社は今後もDXを経営の取り組みとして継続し、入居者サービスの利便性向上と業務の効率化・高度化を進める考えだ。ウェブサイト等での案内や現場での説明会、操作支援窓口の設置など、住民が実際に変化を実感しやすい施策の実行が求められる。
住民が知っておくべき実用情報
- サービスに関する最新情報や操作方法は公社の公式サイトで案内される。
(公社サイト:https://www.osaka-kousha.or.jp/) - アプリ利用に不安がある入居者は窓口や電話でのサポートを確認すること。公社側でも対面や電話での手続きを残す方針を掲げており、すべての手続きがオンライン限定になるわけではない。
- スマートロックやオンライン決済導入に伴い、集会所利用の方法が変わっているため、予約方法や利用規約を事前に確認すること。
今回のDX認定は、府内の公的住宅運営におけるデジタル化の一里塚といえる。行政サービスの効率化と住民利便性の向上を両立させるために、実務面での周知と利用者支援の充実が鍵になりそうだ。