被災地の学校で「寄り添う支援」継続、岡山の教職員チーム
岡山県教育委員会が組織する「災害時学校支援チームおかやま」は、2022年に11人で発足した教職員のボランティアチームだ。発足メンバーには、矢掛町立川面小学校の元校長で現在は倉敷市の教育施設に携わる勝間光洋(63)が含まれる。チームは県内外で被災した学校への支援を行い、教職員や児童の心理的ケアを重視した活動を続けている。
勝間は、2018年7月の西日本豪雨で隣接校から児童を預かる経験を持つ。被災直後、現地の教職員は心理面の対応法を持ち合わせておらず、兵庫県から派遣された震災・学校支援チーム「EARTH(アース)」の助言が重要な役割を果たしたと振り返る。アースの支援に触れた経験が、チームおかやまへの参加動機となった。
チームおかやまが県外へ初めて派遣されたのは2024年1月の能登半島地震で、勝間が第1陣5人のリーダーを務めた。発生から約2週間後に石川県七尾市を訪れ、学校を回りながら教職員のニーズ把握や避難所運営に関する相談対応に務めた。数日間の滞在ながら、誠実に向き合うことで信頼を獲得し、帰県後に情報を後続隊へ引き継いだという。
同じ教職員であることが、支援の強みだと勝間は語る。被災地の教員と継続的に連絡を取り合い、個人的に心理学を学びながら再訪することで、単発の支援にとどまらない関係性を築いている。
倉敷市立船穂小の教諭、中原洋子(46)もチームで講師を務める一人だ。中原は真備町地区での豪雨被災経験があり、自身の自宅が全壊するなど当事者でもあった。被災直後に来阪したアースの教職員らに同行してもらい、子どもや保護者の家庭訪問に連携して臨んだ経験が、心理的負担を和らげる上で大きかったと語る。
「何より、寄り添うことの力を伝えたい」
中原は、被災後の学校再開時に見られた児童の行動変化を挙げる。授業中に急に泣き出す子、不眠を訴える子などが現れ、教員自身も支援方法に戸惑う場面があった。教員同士で被災状況を共有し、子どもと互いの体験を話し合うことで、教職員と児童の双方が日常を取り戻す一助となったという。
能登半島地震への派遣では、現地の教師らと交流する中で岡山の名産であるきび団子や、アースとの交流を思い出させるたこせんといった地域の品を通じて心をほぐす場面もあった。こうした些細な行為が信頼構築につながるとメンバーは指摘する。
チームおかやまは現在、外部講師を招いた研修を継続し、初動の対応や心のケアに関するノウハウを蓄積している。報道によれば、熊本地震に対しても派遣を検討しており、県外での支援活動を継続する姿勢を示している。
地域への影響と住民への示唆
学校は災害時に教育の場であると同時に、地域の避難拠点や心理的支援の初期受け皿にもなる。教職員が被災当事者である場合、業務負担と個人的な損失が重なり、適切な対応が難しくなる。教職員出身者が組織する支援チームは、現場の実情を理解した上で助言や運営面の支援を行える点が強みだ。
- 学校運営の継続性確保:隣接校の受け入れや授業再開に関する実務支援。
- 心理的ケアの導入:教員同士の話し合いや児童への寄り添い方の助言。
- 地域連携の強化:避難所運営や家庭訪問を通じた地域支援の補完。
住民や保護者が知っておくべき点は、学校単独での対応に限界があることだ。公的支援や県外の専門チームの派遣が期待できる一方で、被災直後は外部支援の到着まで時間がかかることがある。地域ぐるみでの避難計画や、家族ごとの安否確認方法、学校との連絡手段の確認が重要となる。
チームのそろいのベストは青地で「晴れの国」をイメージしており、現場での安心感の象徴を意識している。被災地での経験を踏まえ、今後も研修や現地派遣を通じてノウハウを共有していく方針だ。
岡山発の支援の動きは、被災地の学校運営と心のケアに関するモデルの一端を示す。被災経験を持つ教職員が当事者の視点を生かして支援を続けることは、被災地での信頼構築と地域の早期復旧に寄与する可能性が高い。今後の派遣の状況や研修内容は、県教育委員会からの発信を注視するとともに、各学校でも心のケアや避難対応の準備を進める必要がある。