テクノロジー

猫を“動くアイデンティティ”にする試み、Neko Labがウェブと編集ツール公開

電通の社内イノベーション組織が、猫を題材にしたウェブサイトと「Neko-chan Editor」を公開。視覚デザインとプログラミングを統合し、“動くロゴ=ダイナミックアイデンティティ”を具現化する取り組みを報告する。

猫を“動くアイデンティティ”にする試み、Neko Labがウェブと編集ツール公開
©イラスト AI生成 :編集部/プレスリリースジェーピー

電通内のクリエイティブR&Dが猫を題材に公開した新たな表現

電通のクリエイティブR&D組織内に設けられた猫専門のイノベーションチーム「Neko Lab Tokyo」(以下、Neko Lab)は、公式ウェブサイトの公開に合わせて、個体の見た目や毛並みを反映させられるツール「Neko-chan Editor」を立ち上げた。サイト公開は「World Cat Day」に合わせて行われたという。プロジェクトはビジュアルの担当者とコピー/企画担当、そして実装を担うクリエイティブテクノロジストが協働する形で進められた。

チームは当初、ロゴデザインの議論から出発した。固定された形ではなく、用途や状況に応じて変化する「ダイナミックアイデンティティ(動的なアイデンティティ)」の概念を取り入れたいという発想が発端となったが、その実現にはプログラミングによる制御が不可欠であり、実装の専門性が求められたため、クリエイティブテクノロジストが参加してプロジェクトが前に進んだ。

「ダイナミックアイデンティティは、デザインを一つの形に固定せず、用途や状況に応じて柔軟に変化させる手法だ」

今回の取り組みは、単なるビジュアル制作を超え、テクノロジーを介して“個別の猫らしさ”をウェブ上で再現する試みである。プロダクトの要点は、外見や毛の質感、表情などの要素を入力・選択することで、ユーザー自身の猫(または想像上の猫)をデジタル表現として生み出せる点にある。これにより、一点物の画像やロゴではなく、状況や用途に応じて形を変える“動くアイデンティティ”が具現化される。

制作の役割分担と現場の工夫

チームの構成は、アートディレクター、CMプランナー/コピーライター、そしてクリエイティブテクノロジストという組み合わせだ。アートディレクターはウェブサイト全体のビジュアルを統括し、プロジェクトに使われるイラストレーションの制作も担当している。コピー/プランナーは企画の発想と過去の猫との経験を表現に繋げる立場から参加。実装面は、コンピュータを用いた可視化を専門とするクリエイティブテクノロジストが単独で担当し、プログラミングによる挙動や表現の再現性を担保した。

  • アートディレクション:サイト全体の視覚設計とイラスト制作
  • 企画・コピー:プロジェクトコンセプトと表現の言語化
  • テクノロジー実装:プログラムによる動的制御と可視化

プロジェクトの出発点がロゴ制作であったことは、表現の核が“識別とブランド性”にあることを示す。だが同時に、チームはロゴを静的なシンボルとして扱うのではなく、動的に変化する“生きた表現”として設計しようとした。こうした発想は、ブランドやアイデンティティ設計におけるテクノロジー活用の一つの方向性を示している。

背景と実務的な意義

本プロジェクトは、テーマ性の強い題材(猫)を軸に、技術とクリエイティブを横断する試作である。近年、デジタル空間でのブランド接触点が多様化する中、固定的なロゴや画像だけではなく、環境やユーザーに合わせて変化する表現の必要性が増している。Neko Labの取り組みは、そうしたニーズに応じた表現手法を社内で実験的に検証するものだ。

また、個人に寄り添うコンテンツ設計という側面も重要だ。ユーザーが自身の猫を反映させることで、単なる受け手から能動的な参加者へと転じる。これにより、ウェブ上での滞在時間やエンゲージメントが高まり、結果としてブランド経験の深化につながる可能性がある。

要素 意義
動的ロゴ(ダイナミックアイデンティティ) 用途に応じた表現の最適化、視認性と柔軟性の両立
ユーザーカスタマイズ(Neko-chan Editor) 参加型体験によるエンゲージメント向上

今後の展望と示唆

今回のケースは、社内の専門家チームが短期間で概念実証を行い、公開に至った例として注目できる。今後、この種の試みが企業のブランド戦略や広告表現にどう取り込まれていくかは関心事だ。動的なデザインが普及すれば、広告やプロダクトのパーソナライズはより高度になり、デザイン制作のワークフロー自体にも変化を促すだろう。

一方で、実装の難度や運用コスト、そして表現の一貫性をどう担保するかなど、実務上の課題も残る。Neko Labのような内製の試作組織は、これらの課題を検証する役割を果たす。今回の公開が示すのは、技術とデザインの協働が現実の表現にどのように結実するかを示す一つの事例である。

最後に、今回のプロジェクトが単なる遊びや実験に留まらず、企業のデジタル表現や消費者との接点設計に実践的な示唆を与える点を強調したい。Neko Labは今後も猫をテーマにしながら、技術と創造性の交差点で新たな表現を模索していくと見られる。

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