概要
サンディスクは「Future of Memory and Storage 2026(FMS 26)」において、AI推論ワークロードの進化に対応するメモリ/ストレージの取り組みを発表した。発表では、次世代NANDや高帯域幅フラッシュ(HBF)、およびエンタープライズ向けSSDといった技術を通じて、容量・性能・消費電力といった複数の要求を満たす方針が示された。
発表のポイント
- 次世代3D NAND(BiCS10 QLC NAND):記憶密度や電力効率、性能の向上を目指す設計で、AIやクラウド、データセンター向けを想定。
- 高帯域幅フラッシュ(HBF):AI推論のスループットや帯域幅の要求に応える新しいNANDベースのアプローチ。
- AIデータサイクルフレームワーク:生データからトレーニング、推論、生成コンテンツの保管まで、ストレージ要件を体系化した更新版。
- エンタープライズSSD:KVキャッシュワークロードや将来のPCIe Gen 6への対応、DRAM削減での超大容量設計を見据えた製品群。
同社のテクノロジーイノベーションは、高速データレイク、モデルストレージ、検索拡張生成(RAG)、KVキャッシュワークロードなどのAIワークロードに重点を置いている。
技術要素の整理
発表資料では、AIインフラが処理能力だけでなく「データの格納・移動・アクセス能力」を同等に重視する新局面にあると指摘された。これを受け、サンディスクはNANDの世代的進化と、NANDの使い方を見直す新技術群で対応しようとしている。
| 技術 | 狙い | 主な適用領域 |
|---|---|---|
| BiCS10 QLC NAND | 密度・電力効率・性能の向上 | AI、クラウド、データセンター |
| HBF(高帯域幅フラッシュ) | 高帯域幅の確保、推論スループット向上 | 大規模AI推論環境 |
| エンタープライズSSD | 高耐久・大容量・DRAM削減 | KVキャッシュ、PCIe Gen 6対応将来設計 |
国内への示唆と影響
今回の発表は、国内のクラウド事業者やデータセンター運営者、AIサービス提供者にとって重要な意味を持つ。AI推論が広がるにつれて、単純な演算性能の増強だけでなく、ストレージ階層の最適化がコストとエネルギー効率に直結するためだ。特に以下の点が国内事業者の検討課題となる。
- モデルストレージやKVキャッシュなど用途に応じたストレージ階層設計の重要性
- 高密度NANDの採用による管理コストと消費電力のトレードオフ
- HBFのような新アーキテクチャが既存インフラとどう整合するか
国内企業や研究機関は、こうした技術進化を踏まえてハードウェアの調達計画やソフトウェア側のデータ配置戦略を見直す必要がある。AIワークロードの特性に応じて、どの層にどれだけの資源を割くかが運用効率を左右するだろう。
今後の展望
サンディスクはFMS 26で基調講演を行い、NANDがAI時代の基盤であることを訴えるとともに、GoogleやSK hynixとともにパネルで高帯域幅フラッシュのエコシステム整備について議論する予定だ。これらの議論は、NANDベースの新しいメモリーアプローチが実運用に至るまでの課題と解決策を浮かび上がらせる機会となる。
AI推論の拡大は今後も続くと見られるため、ストレージ・メモリ分野でのイノベーションは引き続き注視すべきテーマだ。国内の関連事業者は、次世代NANDやHBFの動向を追い、実システムへの導入可否や効果測定を進めることが求められる。