採択9年、長崎からの再要求
核兵器禁止条約が国連で採択されてから7日で9年となるのを受け、長崎原爆被災者協議会は長崎市岡町の事務所に新たな横断幕を掲示し、日本政府に同条約への参加を求めました。掲示された横断幕は縦90センチ、横2メートルの2枚で、被爆者団体の強いメッセージを示しています。
横断幕に込められた訴えと背景
横断幕には「核兵器と人類は共存できない。核兵器禁止条約に日本政府は今すぐ参加を」との文言が掲げられました。また、政府が年内の改訂を目指す安全保障関連の文書をめぐり、「核兵器は持ち込ませない。日本政府は非核三原則まもれ」と訴える横断幕も掲示されています。これらは、被爆者らが長年にわたり続けてきた被爆国としての立場の堅持を求める声を改めて可視化したものです。
長崎原爆被災者協議会・田中重光会長(85):「日本政府はいつも唯一の戦争被爆国という枕詞を述べながら(核兵器禁止)条約に背を向けている。私たちは本当に一日も早く条約に署名・批准することを要求しています。」
条約の採択は2017年7月7日。現在、報道時点で99の国と地域が署名・批准している一方、核保有国や、米国の核の傘に依存する日本は署名・批准をしていません。被爆者らの要求は、国の安全保障政策と被爆地の市民感情の接点を改めて浮き彫りにしています。
長崎の住民にとっての意味
長崎は1945年の原爆被害を受けた都市であり、被爆者の声は地域社会の記憶と倫理に直結します。被爆者団体の今回の行動は、単なる抗議にとどまらず、次の点で住民生活に影響を及ぼす可能性があります。
- 政治的論点の周知化:地方自治体や市民団体、教育現場で核政策をめぐる議論が深まる。
- 対外発信の強化:被爆地としての長崎の国際的立場や市民の意思表示が改めて注目される。
- 社会的な連帯と分断の可能性:被爆者の訴えに賛同する声と、安全保障政策の見直しをめぐる賛否の対立が地域内で表出する場面が増える。
特に自治体関係者や教育関係者は、学校教育や地域行事で被爆の記憶をどう継承するか、また住民への説明責任をどう果たすかを改めて問われることになります。
住民が知っておくべき点と行動の指針
被爆者団体の要請に対し、住民として関心を持つ際に押さえておくべき基本点は次のとおりです。
- 条約の採択日は2017年7月7日であり、数年をかけて加盟国は増加しているが、主要な核保有国は未加入であること。
- 被爆者団体は人道的観点と被爆地としての倫理を基に署名・批准を求めている点。
- 政府側は安全保障上の観点や同盟関係を理由に、条約不参加の立場を維持していること。
関心を持つ市民は、被爆者団体や市役所、議会の公開資料や説明会に目を通すことで事実関係を確認できます。地元の議員に意見を伝える、関連する市民集会に参加する、教育機関での記録展示や講演を企画・支援するといった具体的な関わり方も考えられます。
今後の見通しと地域の課題
今回の横断幕掲示は、被爆者らの根強い要望を象徴する出来事ですが、政府の対応が直ちに変わるとは限りません。年内に予定される安全保障関連文書の改訂を巡っては、政府内での議論や外部からの圧力が続く見込みです。長崎の市民社会は、被爆の記憶をいかに政策議論に反映させるか、また地域の教育・平和活動をどう維持・発展させるかという課題に直面しています。
被爆者の声は、長崎にとって歴史的・道徳的資産です。政府への働きかけだけでなく、地域が一丸となって被爆の実相を次世代に伝える取り組みを継続することが求められます。