告示、投開票は12日 訪日客需要と住民生活のはざまで
長野県白馬村の村長選は7日告示され、前村議で新たに出馬した伊藤まゆみ氏(67)と現職の丸山俊郎氏(51)が立候補した。ともに無所属。投開票は12日に行われる。6日現在の選挙人名簿登録者数は6520人と村選管が公表している。
近年、白馬は訪日外国人を中心としたスキー需要を追い風にホテルや別荘といった観光関連の開発が活発化し、全国でも高い地価上昇率を記録してきた。一方で物価や家賃の上昇を背景に、若者や生活に困窮する住民が村を離れる事例が増えているという声が出ている。今回の選挙では、こうした観光振興と定住・生活支援をどう両立させるかが主要な争点となっている。
出馬した伊藤氏は6月30日付で村議を辞職して立候補を表明した。自身が経営する民宿の前で街頭に立ち、「家賃や物価の高騰で大切な若者や仲間が村を去りインフラも悲鳴を上げている」と述べ、現状のままでは地域の暮らしが守れないとの危機感を出馬理由に挙げた。伊藤氏は地域の生活者目線から無秩序な開発を食い止める必要性を訴えている。
「家賃や物価の高騰で大切な若者や仲間が村を去りインフラも悲鳴を上げている」
対する丸山氏は現職として1期目の実績を強調し、村役場付近で第一声を上げた。コロナ禍に当選した任期中の取り組みを改めて示し、「村民の暮らしを守る」ことを公約に掲げ、住宅政策や無秩序な開発の防止に取り組む意向を表明した。丸山氏は引き続き村政を執ることで、観光と生活のバランスを図る考えだ。
村議の欠員と再選挙状況
昨年実施された村議選(定数12)では立候補者が11人にとどまり、欠員が生じたため再選挙が告示されていた。今回、無所属の元村議しのざき久美子氏(66)が届け出を行い、ほかに届け出はなく無投票で当選が決まった。伊藤氏の村議辞職により再び村議の欠員が1となったが、村選管によると、現村議の任期が満了する2029年まで村議選は行われない見込みである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 告示日 | 2026年7月7日 |
| 投開票日 | 2026年7月12日 |
| 選挙人名簿登録者数 | 6520人(6日現在) |
住民にとっての具体的な影響
短期的には、次期村長が定住促進策や住宅対策にどれだけ迅速に取り組めるかが生活実感に直結する。観光需要に合わせた高級ホテルや別荘の開発が進めば地価・家賃のさらなる上昇を招き、賃貸住宅を必要とする若年世帯や非正規雇用者の負担が増す可能性がある。反対に、規制や公的支援を強化する方針が採られれば建設業や宿泊業の投資環境に影響し、雇用や事業収益にも影響が出る。
中長期的には、まちの居住環境やインフラ整備(上下水道・交通・医療・保育等)への投資方針が問われる。観光客誘致を重視するか、定住促進を優先するかで、学校や医療機関の存続、地域コミュニティの活力が左右されるため、住民一人ひとりにとって重要な選択となる。
有権者への実務的な助言
- 投票日は7月12日。期日前投票の情報や投票所の詳細は村選管が案内しているため、事前に確認を。候補者の政策や住民説明会の情報にも目を通してほしい。
- 観光開発に関する規制や住宅支援策は、村長の方針だけでなく議会や県との協議も必要となるため、選挙後も継続的に情報を注視することが重要だ。
- 地域の生活実感や具体的な課題(家賃、雇用、交通、医療)を声として届けることで、政策の優先順位に影響を与えることができる。
白馬は観光地としてのブランドを持つ一方で、住民の暮らしを守る施策が試される局面にある。今回の選挙結果は、観光振興と地域の持続可能性をどう両立させるかという議論の行方に直接結びつく。住民生活に関わる具体的な政策動向は、選挙後の村政運営を注視し続ける必要がある。