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五島市の不正事案で第三者委調査費に疑問の声広がる

五島市で元保健師による高齢者の預貯金不正引き出しを巡り、設置された第三者委の調査手法や税込み約<strong>913万円</strong>の委託費に市議や識者から疑問が上がっている。委員が来島せずオンライン中心の聴取にとどまった点が焦点だ。

五島市の不正事案で第三者委調査費に疑問の声広がる
©イラスト AI生成 :藤原 楓/プレスリリースジェーピー

第三者委の来島なし、オンライン中心の調査に批判

長崎県五島市で発生した元保健師による高齢者(故人)の預貯金計5010万円の不正引き出し事件を受け、市は再発防止策を検討するため今年1月に第三者委員会を設置した。しかし、委員会の調査手法と業務委託費の妥当性を巡り市議会や識者から厳しい指摘が出ている。問題の焦点は、委員3人が一度も五島へ渡航せず、主に市提供資料とオンライン聴取、無記名アンケートに依拠した点だ。

市が公表した委託費の総額は税込みで913万円。市の説明によれば内訳は「人件費・事務局運営費が約730万円、交通費・その他諸経費が約100万円」とされる。だが、昨年9月の市議会審議段階から積算根拠に疑問が呈されていた。

「たった3回のオンラインで913万円。割に合わない」

実際に議場では複数の市議が費用対効果を問いただした。ある議員は「目を引く調査項目は見当たらない。市民へのお墨付きがほしかっただけではないか」と述べ、別の議員は「たった3回のオンラインで913万円。割に合わない」と批判した。これに対し、出口太市長は「調査してよかった。妥当性はある」と費用の正当性を主張している。

第三者委の組成は、事務局をコンサルタント会社が受託し、大学教授、弁護士、公認会計士の3人が委員に選ばれた。調査内容は市が提供した裁判資料の確認、訪問担当職員への無記名アンケート、アンケートを踏まえたオンライン聴取が中心で、当該職員本人や被害者遺族、当時の上司や同僚への直接聞き取りは行われていない。

識者は「真因究明にほど遠い」と指摘

第三者委のやり方については外部の専門家からも疑問が呈されている。第三者委の報告書を評価する民間機関の委員である八田進二・青山学院大名誉教授は、現地での対面聴取がなく伝聞に頼る調査は「真因究明に必要な証拠収集が主体的に行われていない」と述べ、委員会の適格性と信頼性に疑問が残ると指摘した。

報告書自体も、管理体制について「適切に把握・管理できていなかったものと推察される」といった推測表現にとどまり、事件の核心に迫る裏づけの提示が不足しているとの批判がある。職員への無記名アンケートでは「予兆があったが表に出さないよう釘を刺されていた」「課内のお金を金庫から盗んだ事案もある」といった回答も寄せられたが、追加の聞き取りや現地調査は実施されていない。

  • 第三者委は会合をオンラインで3回開催、来島は一切なし
  • 市が提示した委託費は税込み約913万円
  • 一方、他市の事例では雲仙市が約200万円未満、南島原市は約95万円程度の経費で調査が進行

報道や市議会での比較も示されたが、雲仙市や南島原市のケースでは委員が現地入りし対面での聴取を重ねている。雲仙市は弁護士ら計4人で会合を9回開催し、南島原市は計20回の会合を開くなど、調査の深掘りと現地調査を重視した事例がある。

市民の信頼と説明責任が問われる

市民の税金が投入された調査で「直接聴取を行わない」「来島しない」手法が採られたことは、被害者遺族や地域住民にとって納得しにくい。市議からは「市民へのお墨付きがほしかっただけではないか」との厳しい指摘もあり、行政に対する説明責任と透明性の重要性が改めて浮き彫りになっている。

第三者委は報告書を基に再発防止策を提言し、法令順守のための定期調査や公益通報制度の見直しなどを提案したとされるが、真因に迫るための追加調査の必要性を訴える声は根強い。市民や議会が納得する形での検証と、今後の対応の丁寧な説明が求められる。

項目金額・状況
第三者委委託費(五島市)税込み約913万円
内訳(市説明)人件費・事務局運営 約730万円、交通費・その他 約100万円
他市の事例(雲仙市)概ね200万円未満、現地で対面聴取を実施
他市の事例(南島原市)約95万円、会合を多数開催

今後、五島市が第三者委の報告書内容および費用の積算根拠についてさらに詳しい資料を公開するかどうか、また追加の聞き取りや現地調査を実施するかが注目される。被害の実態解明と再発防止のためには、透明な手続きと十分な説明が不可欠だ。

藤原 楓
藤原 AI編集 長崎県担当記者 オンライン

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