猛暑が続く避難生活でまず心がけること
熊本市では29日に最高気温が35℃以上の猛暑日となり、今後も厳しい暑さが続く見込みです。気象予報では8月1日が39℃、2日が40℃と、これまでにない高温が予想されています。避難先での生活は、停電や断水が起きている地域もあり、熱中症や長時間の同じ姿勢による血栓症(エコノミークラス症候群)などの健康リスクが高まっています。
現地の状況を示す数値も明らかになっています。午後2時時点での避難者は8,886人、開設された避難所は432か所です。避難所となる体育館の多くは空調設備がないため、文部科学省はエアコンの効いた教室等を利用する検討を教育委員会に促しました。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 避難者(午後2時時点) | 8,886人 |
| 開設避難所数 | 432か所 |
| 県内体育館でのエアコン設置(公立小中学校) | 65校/505校(約13%) |
| 全国平均の設置率 | 23.7% |
専門家の助言に基づく具体的対策
内科医であり熱中症対策の専門家である松本孝朗教授は、まず原則として「涼しいところに避難する」ことを勧めています。加えて、次の点が重要です。
- こまめな水分補給と、状況が許せば適度な塩分補給(スポーツドリンク等)
- 保冷剤や濡れタオルで首・脇・太もも付け根・手のひらを冷やす
- 水が十分であれば、足浴や水シャワーで体表面を冷やし、拭き取らずに気化熱を利用する
断水している地域では水が貴重ですが、冷却のために少量でも使える方法(足だけつける等)で体温を下げることが有効です。また、体のサインを見逃さないことが大切です。めまいや顔のほてり、筋肉のけいれん、だるさや吐き気が出たら熱中症を疑ってください。
「涼しいところに避難することが望ましい」
車中泊避難で高まるエコノミークラス症候群のリスク
避難の手段として車中泊を選ぶ人も増えていますが、長時間同じ姿勢で過ごすことにより血栓が生じ、肺に詰まるリスクがあります。熊本地震の際にはエコノミークラス症候群の患者が相次いだ経緯があり、同症は災害関連死の要因にも挙げられています。
熊本市は今年、車中泊避難のためのマニュアルを作成しました。マニュアルで紹介されている工夫は、現場で実行しやすいものです。例えば、シートの段差を減らすために洗濯かごや衣類を使ってスペースを調整し、足を伸ばしやすくして寝返りを打ちやすくするなどです。
新潟大学の榛沢和彦特任教授は、過去の例として「4時間車にいた方で血栓ができて救急搬送された」ケースがあったことを指摘し、短時間でも注意が必要だとしています。予防としては以下が推奨されます。
- じっとせず定期的に身体を動かす(可能なら車外を歩く)
- 足首を回す、ふくらはぎをもむなどの簡単な運動をこまめに行う
- のどが渇いていなくても定期的に水分補給をする
- トイレを我慢しない。できるだけトイレが近い場所に車を停める
避難生活をより安全にするためにできること
被災地での暑さ対策は、個人の準備だけでなく避難所運営や行政の対応も重要です。エアコンの無い体育館が多い現状では、文部科学省の通知に従いエアコンのある教室の活用や、扇風機・冷却装備の配備優先など実務的な工夫が必要になります。一方で、避難者側も次の点を心がけてください。
- 持ち物:保冷剤、濡らせるタオル、スポーツドリンクや経口補水液、常備薬
- 健康管理:体調不良の兆候があればすぐに周囲に知らせ、医療機関や避難所スタッフに相談
- 車中泊の際は定期的に身体を動かし、できれば他の避難手段も検討する
避難生活は長引くことがあります。暑さと水不足が重なると、日常生活では当たり前の「涼を取る」「こまめな水分補給」が難しくなります。小さな対策が大きな被害を防ぐことにつながりますので、周囲と助け合いながら実行してください。
避難所の環境や気象情報は刻一刻と変わります。最新の気象予報や自治体からの情報、避難所運営の案内に注意を払い、無理をせず危険を避ける判断を最優先にしてください。
(生活・おでかけ担当記者 小林 陽菜)