猛暑で外出時間帯と割合が変わる実態
株式会社電通と株式会社unerryは、2025年6月から9月にかけて全国の行動データを分析し、猛暑日の外出行動が曜日や地域によってどのように変化するかを明らかにしました。共同調査は、500メートル以上の移動を外出と定義し、最高気温帯ごとの外出率や時間帯の変化を比較しています。
「気候変動に伴う気温上昇が生活者の外出行動に与える影響を把握するため、行動データを用いた調査を共同実施しました。」
調査の主な知見は、土曜日の外出抑制が35℃の猛暑日基準を待たずして31℃前後から始まること、土曜日には日中の外出が夕方以降へと明確にタイムシフトすること、さらに地域差や都市の交通特性によって行動変容の程度が異なることです。
調査結果のポイントと具体的な影響
- 土曜日は31℃前後から日中(12時〜14時台)の外出が抑制され始める。
- 土曜日の猛暑日には、9時〜16時台の外出率が低下し、18時以降の外出が増える(14時台の外出率低下は最大で1.9ポイント、19時台の上昇は最大で1.3ポイント)。
- 平日・日曜日は日中の外出抑制が見られるが、夕方以降へのタイムシフトは限定的(平日19時の上昇は最大で0.4ポイント、日曜は最大0.5ポイント)。
- 県別には宮崎県、佐賀県、長崎県などで土曜の夕方シフトが顕著。暑さの厳しさと行動変容の大きさは必ずしも一致しない。
- 公共交通利用度が高い都市では、車中心の都市に比べて土曜の夕方以降への外出タイムシフトが起きにくい傾向が確認された。
これらの結果は、単に「暑い日は外に出ない」だけでなく、生活者が曜日ごとに異なる対応を取る点を示しています。特に週末のレジャーや買い物、飲食店の集客、イベント運営において、時間帯をずらすことで利用を促す戦略的な対策が有効になり得ます。
実務的な示唆:企業や自治体、個人が取るべき対応
調査は企業の販促や自治体の暑熱対策にも直接つながる具体的示唆を提示しています。実務に結びつくポイントを整理します。
- 営業時間・イベント時間の見直し:土曜は午後の集客が落ち、夕方以降に回復する傾向があるため、イベント開始時間を遅らせる、暑さが和らぐ夕方以降に割引やキャンペーンを設定するなどの工夫が有効です。
- 行政の暑熱対策:日中の屋外作業や行事実施の際は、平日と週末で異なるスケジュール調整や情報発信が必要です。特に土曜は早い時間帯の活動抑制が始まる点を想定した注意喚起が重要です。
- 交通・都市計画:公共交通の利用度が高い都市では夕方シフトが起きにくいという特性を踏まえ、通勤以外の時間帯における車両混雑対策や冷房など快適性向上策を検討する余地があります。
データで見る主な数値
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| 外出抑制開始の目安(土曜) | 31℃前後 |
| 日中外出率低下の最大幅(14時台) | 1.9ポイント |
| 夕方外出率上昇の最大幅(19時台、土曜) | 1.3ポイント |
| 平日の夕方上昇最大(19時台) | 0.4ポイント |
| 日曜の日中抑制最大幅(13〜14時台) | 3.2ポイント |
表からも分かる通り、曜日別の差は明確です。日曜日は日中の抑制が大きいが、土曜は抑制に加えて夕方以降への時間移動が起きやすいという特徴があります。
地域差と“暑さ”だけでは説明できない行動
県別の分析では、宮崎県、佐賀県、長崎県などで土曜の夕方シフトが強く現れました。一方、暑さの厳しい地域でも行動変容が小さいケースがあり、外出変化は単に最高気温の高さだけで決まるわけではないことを示しています。生活様式や屋内施設の普及度、交通手段の違いなど複合的な要因を考慮する必要があります。
本調査は、気候変動による日常行動への影響を定量的に把握する重要な一歩です。今後、季節や地域、産業別の細分化分析が進めば、より精緻な対策やサービス設計につながるでしょう。外出を計画する個人も、曜日と時間帯を意識した行動で猛暑を上手に回避し、快適に夏を過ごせるはずです。
(生活・おでかけ担当記者 小林 陽菜)