治療技術とギア進化が変えた“走る人生”
プロトレイルランナーである鏑木毅さんは、57歳になった今も日々トレーニングを続けている。数年前にアキレス腱を部分断裂した際、従来では難しかった競技復帰を実現できた背景には、最先端の治療法とシューズの進化があったといいます。鏑木さんの体験は、年齢を重ねても走り続けたい人たちに具体的な希望と示唆を与えます。
鏑木さんは54歳のときに受けた処置として、再生注射、衝撃波療法、および温熱療法を挙げています。いずれも保険適用外で費用負担は大きいが、約3カ月余りで以前のように走れる状態に回復したといいます。医療の選択肢が増えたことで、かつては「走ることを断念せざるを得なかった」ケースが減りつつあることを示しています。
| 治療法 | 役割 |
|---|---|
| 再生注射 | 自己治癒力を高め、組織回復を促進 |
| 衝撃波療法 | 患部刺激で回復を促す |
| 温熱療法 | 血流改善で治癒環境を整える |
厚底カーボンシューズの現実的効果と注意点
近年のシューズで注目されるのは、厚底でカーボン入りのモデルです。鏑木さんは厚底の出現が脚部への衝撃を軽減し、身体的負担の低減に寄与したと評価しています。一方でシューズの反発特性に適応するための走法の工夫が必要で、鏑木さん自身は股関節(腸腰筋を含む)にかかる負担の変化を感じたと述べています。
このため、鏑木さんは次のような対策を組み合わせていると書いています。
- 股関節周りの深層筋(腸腰筋を中心とした)を強化する筋力トレーニング
- 厚底シューズと薄底シューズの併用で身体の順応を促す
- フォーム調整で反発力を活かしつつ過剰な負担を避ける
鏑木毅さん(プロトレイルランナー)の言葉:医療とテクノロジーの革新がなければ長年の疲労の蓄積に脚が耐えられず、この年まで走れなかっただろう。
中高年ランナーの現状と示唆
国内では50代・60代のランニング参加者が目立ち、60歳を超えてもフルマラソンで好タイムを出す市民ランナーが存在します。30年以上前と比べると参加者層が広がり、医療やギアの進化がその背景にあると鏑木さんは振り返ります。個人としては、かつて月間1500キロを走っていた時期があったものの、現在は走力が落ちたと前置きしつつも、致命的な故障なく走り続けられている点を強調しています。
実践的アドバイス——続けるための視点
鏑木さんの体験から、走り続けたい中高年に向けた実践的なポイントを整理します。いずれも医師や専門家の個別指導と併せて検討してください。
- 怪我の予防と早期対応:違和感が出たら放置せず専門医へ相談する
- 治療の選択肢を知る:保険適用外の治療も存在し、効果と費用を比較検討する
- ギア適応を段階的に行う:厚底シューズは恩恵が大きいが、フォームや筋力の調整が必要
- 筋力強化を習慣化する:特に骨盤・腸腰筋など深層筋の強化が重要
鏑木さんの言葉からは、テクノロジーと治療の進化が「走ることの選択肢」を広げていることが読み取れます。費用負担や個人差はあるものの、年齢を理由に運動を諦める必要が以前より少なくなったのは確かです。
最後に
かつては中年になってから脚の故障をきっかけに走ることをやめる人が多かったと鏑木さんは振り返りますが、現在は医療や製品の進歩で再起できるケースが増えています。重要なのは、自分の身体と向き合い、適切な治療・トレーニング・ギア選びを組み合わせることです。長く走り続けるための選択肢が増えた今、無理をせず賢く次の一歩を踏み出してみてください。