前橋に根差す酒場経営、街づくりの文脈で拡大
前橋を基盤に複数の飲食店を手掛ける経営者、樺澤大樹さんが掲げるのは「飲食店を通じて街を面白くしたい」という明快な方針だ。樺澤さんは2011年に独立し、前橋・高崎で「IZAKAYAソーレソーレ」「食堂★酒バ ココソーレ」「炉端ビストロ ソーレマン」などを展開してきた。10月23日には高崎駅西口の旭町に新業態「旬と酒 ソーレアペックス」を出店するとしており、近隣大都市圏への影響も見込まれる。
樺澤さん自身は金融系の仕事から飲食業に転じ、キャメルカンパニーで11年勤務した経験がある。そこで店長や専務を務め、低迷店舗の立て直しや新規出店を重ねる中で、料理・サービス・クレンリネス(QSC)が基本であることを確認したという。その経験を基盤に、前橋のまちなかで「酒場」を作る試みを続けている。
前橋で育てた「酒場」という業態
1号店となったのは天川大島町の旧ファミリーマート店舗に開いた地中海酒場SoleSole(現在のIZAKAYAソーレソーレ)だ。周辺に当時なかった食体験を提供し、「わざわざ東京まで行かなくていい」という反応を引き出したことを樺澤さんは喜びとして挙げる。看板メニューとして定着したのはバーニャカウダ。地域の食文化にない品を導入し、食べ方を説明するなどの“啓蒙”を通じて定着させた。
その後の展開は、前橋の中心部に“酒場”的な空間を作るという意図のもと進められた。2019年にはまちなかに「食堂★酒場 ココソーレ」を開設。樺澤さんは「居酒屋」と「酒場」を区別し、前者が個室やサービス主体の空間であるのに対し、酒場は来訪者同士が顔を合わせて交流が生まれる場所だと説明する。実際にココソーレでは全国各地の食材やメニューを取り入れ、地域の他業者や業界内のつながりを生かして品揃えを構築してきた。
高崎出店と地域への影響
2014年には高崎駅西口に2号店となる「炉端ビストロ ソーレマン」を出店した。出店直後は客層の違いや売上面で苦戦もあったが、居酒屋甲子園の理事を務めるなど業界内での活動を通じてノウハウを蓄積し、前橋で育てた酒場文化を高崎にも伝えようとしている。今回の旭町での新店舗「旬と酒 ソーレアペックス」は、ココソーレに近い酒場的要素を持ちつつ、よりアッパーに日本酒と和食を楽しめる業態に調整したという。
こうした出店は単に飲食の選択肢が増えるだけでなく、まちなかの回遊性や滞在時間、夜間のにぎわいに直接的な影響を及ぼす。地元での雇用機会の創出や、若手スタッフの育成、仕入れ先との関係構築を通じた地域経済の活性化といった波及効果も見込まれる。樺澤さん自身は新業態を次々作るよりも、既存のモデルを各街のニーズに合わせて展開する方針を示している。
具体的な店舗リストと特徴
| 店舗名 | 立地・特徴 |
|---|---|
| IZAKAYAソーレソーレ | 天川大島町(旧ファミリーマートの物件を転用)。地中海系の居酒屋として出発。 |
| 炉端ビストロ ソーレマン | 高崎駅西口に出店。炉端やビストロ的要素を持つ業態。 |
| 食堂★酒場 ココソーレ | 前橋まちなかに設置。酒場の雰囲気で全国の食材を取り入れる。 |
| 旬と酒 ソーレアペックス | 10月23日開業予定(高崎旭町)。日本酒と和食を中心としたアッパーな酒場。 |
- QSC(料理・サービス・クレンリネス)を基盤に据えた店舗運営。
- 地域のニーズを踏まえた業態調整で街ごとの特色を反映。
- 業界ネットワーク(居酒屋甲子園等)を通じた知見の導入。
前橋の飲食店経営は市内外の人材流動や消費動向に左右される。樺澤さんの試みは、単一店舗の成功にとどまらず、まちなかの雰囲気作りや若手の育成、地域資源の発掘・流通にまで波及する可能性がある。市民にとっては「どんな店が増えるか」「働き手の雇用条件や募集状況」「新業態の開業日程と営業時間」といった具体的情報が関心事だろう。
「群馬にこういう店があったらいいよね」という店をつくって、街をもっと面白くしたい
来店や就職、地域連携を考える住民に向けての実用情報としては、開業時期の確認や求人情報のチェック、既存店でのメニュー・料金帯の把握、SNS等での発信状況の継続的把握を推奨する。樺澤さんもSNSでのやり取りや業界仲間との情報交換を重視していると述べており、最新の店舗情報やメニュー更新は公式発信が最も確実だ。
短期的には高崎での新店舗開業が周辺の飲食需要に影響を与えるとともに、前橋の既存店にも人の流れやスタッフ採用面で変化が生じる可能性がある。中長期的には、前橋市中心部の“酒場文化”の定着が観光や夜間経済、商店街の再活性化といった形で現れることが期待される。今後の動向は、出店の実績や来店状況、地域連携の深まりにより判断が左右されるだろう。
(加藤 美咲、プレスリリースジェーピー群馬県担当記者)