再開発計画の見直しで事業規模を縮小
前橋市中心市街地の約2.7ヘクタールを対象とする再開発事業について、市や地権者らでつくる準備組合は23日、施設整備計画を大幅に見直し、事業規模を縮小する方針を明らかにした。従来計画で想定していた義務教育学校の整備などを取りやめる一方、市立図書館は複合施設から切り離して単独で新築する方向となった。
変更の主な内容と理由
当初計画では、東街区に小中一貫の義務教育学校とファミリー層向けの10階建てマンション、西街区に図書館や商業施設、オフィスが入る複合施設と広場を整備する想定だった。だが、資材価格や人件費の高騰により総事業費が増加し、費用削減の必要性が生じたことが見直しの背景とされる。
- 東街区:義務教育学校とマンション建設の取りやめ、スズラン前橋店本館解体後の跡地を広場にする計画へ変更
- 西街区:図書館は複合施設から分離して単独で新築。前橋こども図書館との統合は予定通り進める
- スズラン前橋店の新館は解体せず改修・再利用を検討
「計画区域での新たな出店は現時点で検討していない。再開発が進むよう会社として協力したい」―スズラン取締役・島田一男氏
「引き続き準備組合と歩調を合わせながら、事業の実現に向けて取り組む」―小川晶市長
財政面の影響と工期の変更
準備組合は昨夏、再開発の総事業費を約470億円と見積もっていたが、昨年11月時点で資材・人件費等の高騰により事業費が少なくとも94億円以上膨らむことが判明した。今回の見直しで当初見積もりから数十億円程度の削減が見込まれており、市が負担する予定だった約220億円もそれに伴い減少する見通しだ。
また、事業完了の時期も当初想定の2031年度から遅れ、現段階では2032年冬頃にずれ込む見込みとなった。
| 項目 | 当初計画 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 対象面積 | 約2.7ヘクタール | 同上 |
| 義務教育学校 | 東街区に新設予定 | 建設取りやめ |
| 市立図書館 | 西街区の複合施設内に整備予定 | 単独で新築、こども図書館と統合 |
| スズラン前橋店 | 本館・新館含め調整 | 本館解体後跡地は広場に、新館は改修・再利用検討 |
| 総事業費 | 約470億円(当初) | 数十億円の削減見込み |
住民への影響と今後の手続き
今回の見直しは、子育て世代や将来的な居住計画、地域の公共施設利用に直接影響する。義務教育学校の整備取りやめは、周辺の通学計画や学区設定、保護者の通学負担の見直しを伴う可能性があり、市と関係者による具体的な検討が求められる。
また、図書館を単独で新築する方針は利用者にとって利用環境の変化をもたらす。準備組合は前橋プラザ元気21内にある前橋こども図書館と統合する方針を示しており、開館場所や蔵書の移転、利用時間など運営面での詳細がこれから詰められることになる。
今後、都市計画の変更手続きなどが必要となり、準備組合は来年度中の再開発組合設立を目指すとしている。住民説明会やパブリックコメントなどの機会が設けられる可能性が高く、詳細なスケジュールと個別の影響は今後の手続きで明らかになる見込みだ。
住民に向けた実務的な注意点
前橋市内で再開発の影響を受ける可能性がある住民・事業者に対する当面の留意点は次の通りだ。
- 通学・通園の変更案が出た場合、保護者宛ての周知に注視すること。
- 図書館の移転・統合に伴う利用案内や貸出制度の変更に注意すること。
- 商業施設や市の負担額の変動は、将来の税負担や公共サービスに影響を与える可能性があるため、今後の市の説明を確認すること。
準備組合は費用削減を図るための見直しだとしているが、今後の詳細設計や手続きで計画がさらに変わる可能性もある。関係者や市は、住民に対して丁寧な情報提供と具体的な影響の説明を進める必要がある。
(取材・文=加藤 美咲)