通水再開だけでは解決しない「蛇口の向こう側」の課題
公明党「令和8年熊本地震災害対策本部」(本部長=秋野公造政務調査会長)は19日、参院議員会館で会合を行い、政府に対して第4次となる緊急要望を提出しました。要望は、被災地で表面に現れる復旧の進捗と、現場での生活実態にズレが生じている点を重視した内容です。
要望の中心には、通水が再開しても各施設・家屋で安全に水が使えないケースがあるという指摘があります。配管損傷や井戸・屋内給水設備の被害により、見かけ上は水が戻っても医療や介護など現場で必要な生活用水が十分に確保されていない事例が生じているとしています。
- 医療機関や福祉施設ごとに診療・介護で必要な水の状況をきめ細かく把握すること
- 国、県、市町、水道事業者が連携し、現場のニーズに即した支援を実施すること
- 私有井戸の復旧負担を個人に委ねない支援方針の整理
公明党はこれらの点について、政府側に対して具体的な連携と調査の徹底を求めています。政府の報告では、11日に現地に「井戸水対応チーム」を設置したことが示されていますが、要望はさらに詳細な現場把握と支援の継続を促すものです。
「被災した井戸の調査や給水義務との整理に関しては11日に現地に『井戸水対応チーム』を設置した」
住まいと暮らしの再建支援、事業者支援の要望
第4次要望は、生活用水の確保に留まらず、被災者の住まい探しや中小・小規模事業者の再建支援にも踏み込んでいます。住まいに関しては不動産関係団体と連携した住宅マッチングや入居支援の強化を要請し、生活再建へ移行するための支援を確実にするよう求めています。
また、被災した事業者については、事業再建のための支援策拡充が盛り込まれており、再建の実効性を高めるための具体的な支援体制の整備が必要だと訴えています。
| 要望の主な項目 | 趣旨 |
|---|---|
| 生活用水の実態把握 | 医療・福祉施設等で必要な水が使えるかを個別に確認 |
| 井戸の扱い | 私有井戸復旧の負担を個人だけにしない支援の整理 |
| 住まいの移行支援 | 住宅マッチングや入居支援の強化 |
| 事業再建支援 | 中小・小規模事業者の再建策の拡充 |
地方と国の連携、そして教訓の継承
同日、竹谷とし子代表は参院議員会館で熊本県の木村敬知事と面会し、復旧・復興に関する緊急要望書を手渡しました。木村知事は、2016年以降に同県が大規模災害に見舞われるのが4度目であるとして、国からの手厚い支援の必要性を強調しました。これに対し、竹谷代表は「被災された方々が一日も早く元の暮らしを取り戻せるよう全力を尽くす」と応じています。
要望を受けた立場からは、「通水した」との一言では暮らしは戻らないという視点が繰り返し示されています。これは地図上の復旧情報と、各戸の蛇口先での生活再建が必ずしも一致しない現実を端的に表す言葉です。兵庫で震災を経験する立場からも、一件ごとの細やかな支援が支援の質を左右するとの認識が示されています(提出者の一人である兵庫県議会議員・大塚公彦のコメントに基づく)。
現場で何が求められるのか
今回の要望は、復旧の「見た目」と現場の生活実態のギャップを埋めることを目的としています。今後重要なのは、以下のような対応です:
- 医療・介護拠点の優先的な調査と水供給の確保
- 井戸や屋内給水設備の被害を踏まえた復旧支援の法的・財政的な整理
- 被災者に寄り添った住宅・入居支援と事業再建の現場密着型支援
これらは単発の施策ではなく、現地の実情を継続的に把握しながら進める必要があります。要望書はそのための方針と仕組みづくりを国に求めるものであり、被災者の日常生活の早期回復につながるかが注目されます。
被災地の一日も早い復旧・復興を目指すには、行政・事業者・地域住民が連携して「蛇口の向こう側」まで支援の手を伸ばすことが不可欠です。今回の第4次要望が、現場の細部にまで届く支援へとつながることが期待されます。