避難所で広がる「足の支援」
熊本県で震度7を観測した地震から3週間が経過し、県内の避難所での生活が続く中、フットケアに特化した支援が注目を集めている。熊本市内でフットケアサロンを営む白木友加里さん(53)は、仲間のネイリストや介護士とともに夕方以降に避難所を訪れ、手足の爪切り、マッサージ、足浴などを行っている。県の発表では、18日午後2時現在、県内の避難所は70カ所に上り、避難者は3,020人にのぼる。
白木さんらの活動は、単なる清潔保持や慰安にとどまらない。長期の避難生活では運動不足やむくみの発生により、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)のリスクが高まるほか、長く伸びた爪や足の不調が布団や毛布に引っ掛かることで転倒につながる危険性がある。白木さんは、そうした予防の観点から「足元からの支援」を継続していると説明する。
「足ば軽くなった。足先までは手がいかんと」
取材で訪れた火の君文化センター(熊本市南区)に避難する70代の女性は、白木さんに爪切りを受けた後に表情が和らいだ。視力が低く自分で足の爪を切ることが難しかったという。このような日常的なケアは、生活の質を保つだけでなく、健康被害の未然防止に直結する。
支援の現場での線引きと医療連携
白木さんは支援活動の中で、皮膚や爪の状態によってはケアを断り、医療機関につなぐケースがあると強調する。「医療行為ではない」ため、看過できない症状があれば専門医に引き継ぐなどの線引きが重要だという。2016年の熊本地震の経験から、自身の自宅兼店舗が半壊した当時の避難生活で目の当たりにした足の変化を契機に支援を始めた経緯も語られた。
現在、白木さんは一般社団法人「フットヘルパー協会」(北九州市)の熊本校の認定講師として、養成講座や健康教室も開催している。高齢者が自分の足で歩き続けることの重要性を説き、地域の健康寿命維持を目指す人材育成にも取り組んでいる。
避難生活の現状と住民への助言
避難が長期化する中で、住民が日常的に気をつけるべきポイントを以下にまとめる。
- 足のむくみやしびれを感じたら、早めに医療機関に相談すること。
- 爪が厚く変形している場合は無理に自分で切らず、専門家の支援を受けること。
- 長時間同じ姿勢を続けない、こまめに足を動かすなど血流改善を心がけること。
これらはエコノミークラス症候群の予防と転倒リスクの低減につながる。避難所ではまず命を守る対応が優先されるため、こうした日常的なケアは後回しになりがちだが、継続的な対策が二次的な健康被害を防ぐ。
地域医療とボランティアの連携の重要性
白木さんの活動は、平時のサービス提供を続ける事業者や専門家が被災時に持つ役割を示している。避難所運営側、地域の医療機関、ボランティア団体が連携して受診の必要性の判断や、専門的ケアの情報共有を行うことが求められる。特に高齢者が多い避難所では、足の健康が日常生活の自立度に直結するため、行政による支援体制の構築と外部専門家の動員が重要になる。
被災経験のある地域では、過去の教訓を生かした支援の仕組みづくりが必要だ。白木さん自身も2016年の経験が現在の活動の礎になっていると語るように、地元で培われた知見を共有し、他地域の避難所運営にも展開する取り組みが考えられる。
避難所での生活が続く限り、フットケアのような生活支援は必要だ。白木さんは「避難所がある限り、支援を続けていきたい」と意欲を示している。住民は自身や家族の足の状態に気を配り、自治体や避難所で行われる支援情報に注意を払い、必要な支援を早めに求めてほしい。
| 項目 | 報告数/状況 |
|---|---|
| 避難所数(県公表) | 70カ所 |
| 避難者数(県公表) | 3,020人 |
| 主な支援内容 | 爪切り、マッサージ、足浴、医療機関へのつなぎ |