飛騨で希少なコレクションを公開
岐阜県飛騨市の飛騨市美術館は7月18日から8月30日まで、栃木県真岡市が所蔵する久保貞次郎コレクションの展覧会「没後30年―久保貞次郎とは何者だったのか?」を開催する。没後に一括寄贈されたコレクションの中から、版画を中心に戦後の重要作家の作品を含む選りすぐりを展示し、市民や観光客に多面的な美術体験を提供する。
展覧会の構成と見どころ
展覧は4章構成で久保氏の活動と収集の足跡をたどる。収蔵の中心には版画があり、日本の戦後版画史を概観できる点が最大の特徴だ。北川民次、池田満寿夫、瑛九(杉田秀夫)など、久保が親交を結び支援した作家たちの作品が並ぶ。
「久保コレクションを4章構成で展示し、彼の人物像やレガシーに迫ります。」
展示では、作家とコレクターの関係、地域と美術をつなぐ活動史、コレクションの保存・寄贈の経緯といった背景解説も行う。飛騨地域でこれだけまとまった規模の近現代美術コレクションが見られる機会は少なく、教育的価値も高い。
関連イベントと参加情報
会期中には来館者が作品制作や音楽を通じて鑑賞体験を深められる関連事業を実施する。主な催しは以下の通りだ。
- シルクスクリーンで作る蔵書票ワークショップ(7月25日、8月22日・23日)— 多色刷りの制作体験。定員と申込が必要。
- テンペラ画体験(8月2日)— ルネサンス由来の技法をはがきサイズのパネルで実習。
- 東京フィル等のメンバーによるコンサート(8月12日)— 入場無料、申し込み不要。
各ワークショップは参加費が設定され、申込期限・定員があるため事前の申し込みが必要だ。美術館の開館時間は9時から17時、最終入館は16時30分。休館日は月曜日(祝日の場合は翌平日)。観覧料は200円と設定されており、地域住民や観光客にとってアクセスしやすい料金設定になっている。
地域への波及効果と教育的意義
飛騨市での本展は、単なる作品展示にとどまらない。久保の「創造美育運動」や「小コレクター運動」といった活動は、美術を専門家だけのものにせず市民の日常に取り込む試みだった。今回の展示とワークショップはその理念を地域で再現する機会になり得る。
具体的な効果としては次の点が挙げられる:
- 教育面:学校の校外学習や子ども向けプログラムとの連携で、表現教育の実践例を示す。
- 観光面:夏季の行楽シーズンに合わせた開催で観光誘客の起点に。
- 地域文化の活性化:他館との共同巡回展によるネットワーク形成で、今後の文化事業の発展が期待される。
来館にあたっての実用情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会期 | 7月18日〜8月30日 |
| 会場 | 飛騨市美術館(古川町若宮二丁目1-58) |
| 開館時間 | 9:00〜17:00(最終入館16:30) |
| 休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日) |
| 観覧料 | 200円 |
展覧の背景と久保貞次郎の足跡
久保貞次郎は1909年生まれで、前衛作家との交流や教育、地域文化の支援を通じて日本の現代美術の普及に努めた人物だ。生前に収集した作品群は没後に真岡市へ寄贈され、今回の展示は同コレクションの一端を飛騨に紹介する意義ある機会である。市外からの来館者にとっても、戦後美術史の重要作家を地域の美術館で体感できる好機となる。
飛騨市美術館は共同巡回展として他館と連携し企画を進めてきたと説明しており、来場者は作品とともに、収集や保存・寄贈をめぐる公共的な取り組みを見ることができる。地域にとっては、文化資源の活用による長期的な魅力づくりや、若い世代の芸術教育に結びつける足がかりとしても期待される。
問い合わせや申込は飛騨市美術館の案内窓口および同館の公式ページで受け付けている。短期開催のため、参加希望者は早めの確認を推奨する。
(山崎 大輔/プレスリリースジェーピー・岐阜県担当)