若者の挑戦に経営者が寄り添う仕組み
7月11日、大阪市中央区のトゥモローゲート本社で、若年層向け起業家育成プログラム「YOUNG IMPACT(ヤングインパクト)―志甲子園―」の第2期決勝大会が開かれた。10~18歳を対象にした同プログラムは、社会課題に取り組む若者のビジネス化を目指し、経営者らが伴走する仕組みを持つことが特徴だ。決勝には社会課題に取り組む9人のファイナリストが登壇し、事業内容や実現性、収益性をめぐって経営者から鋭い質問を受けた。
審査の結果、経営者による約1年の伴走支援「STARs(スターズ)」に選ばれたのは、細井愛茉(14)、神田芙羽(17)、森田智信(19)の3人。選出された若者はいずれも社会的な課題解決を志向した具体的な取り組みを掲げている。
「若い人たちには多くの可能性があるのに、それが大人に伝わる仕組みがない。YOUNG IMPACTをその仕組みとして確立し、挑戦が次の挑戦を生む循環を大阪からつくっていきたい」
この言葉は主催するMeta Osakaの毛利英昭社長のものだ。大会を通じて、若者のアイデアを事業化へとつなげるために、経営者が伴走してノウハウや実務的助言を提供する意義が強調された。
選出された取り組みと次の展開
決勝で発表されたうち、選ばれた3人の取り組みの概要は次の通りだ。プレゼンは持ち時間3分、質疑応答が6分という短時間で行われ、経営者は事業性や収益性に関する実践的な視点で審査した。
- 細井愛茉(14):外国人観光客によるポイ捨て対策として、提灯に携帯用ごみ袋を内蔵した商品の開発。すでにルーマニアでの取り組みが決まっており、まずは現地での活動に注力した後、大阪展開を視野に入れるという。
- 神田芙羽(17):雑草由来のバイオエタノール生成を通じたエネルギー問題の解決に挑む。これまで研究中心であったため、ビジネス視点の学びを深めたいと述べた。
- 森田智信(19):商業高校生向けの進路・学習支援サービスを展開。大会では他の参加者の発表に刺激を受けたと語り、伴走を受けながら顧客拡大を目指す意向を示した。
| 氏名 | 年齢 | 取り組み |
|---|---|---|
| 細井愛茉 | 14 | 提灯にごみ袋を組み込む商品開発(観光地のポイ捨て対策) |
| 神田芙羽 | 17 | 雑草由来バイオエタノールの研究・事業化 |
| 森田智信 | 19 | 商業高校生向け進路・学習支援サービス |
背景と期待される影響
若年層の起業支援は、アイデアの育成だけでなく地域の雇用創出や社会課題解決の新たな手法の創出につながる可能性がある。毛利社長が指摘するように、若者の可能性を大人社会へとつなぐ「仕組み」が乏しい現状を補完する役割も期待される。
今回のプログラムは約4カ月にわたる週次のオンライン勉強会やプレゼン指導を経て開催された。本選に臨んだ参加者は短時間で自らの事業の強みや課題を端的に伝え、実務経験を持つ経営者から実務的な問いを浴びることで、事業の磨き上げを図った。
選ばれた3人は今後、経営者との伴走のもとで具体的な事業計画や実行計画を詰めていくことになる。とくに海外での展開や学術的な研究成果を市場化するケースでは、法務・資金調達・顧客開拓といった実務支援が不可欠だ。伴走支援がどの程度まで実務に踏み込むかが、各プロジェクトの成否を左右するポイントとなるだろう。
今後の展望と課題
主催側はこの取り組みを継続し、挑戦が次の挑戦を生む循環を大阪から作りたいとしている。プログラムは第3期生を募集中で、次回の決勝大会は11月21日に予定されている。
ただし、若年層の事業化を進めるには、継続的な資金支援、公的制度との連携、地域コミュニティとの協働など多角的な支援体制の整備が求められる。今回のような民間主導の取り組みが、公的支援や教育現場とどう接続していくかが今後の鍵となる。
大会に参加した若者たちは、本選の場で得た指摘や助言を糧に次の段階へ進む。経営者の伴走を通じて、社会課題を解決する実効性ある事業へと育っていくのか、地域や産業全体への波及はどの程度か――これからの動きが注目される。