OECD比較で見えた長所と短所
経済協力開発機構(OECD)が改編した「より良い暮らし指標(BLI)」に基づき算出した結果、韓国の総合点は5.99点で、OECD加盟38カ国中19位だった。調査をまとめた韓国保健社会研究院の報告は、住宅や知識・技能の分野で高い評価を得る一方で、社会的つながりや労働・雇用の質、主観的幸福度が低迷している点を強調している。
- 総合点:5.99点(38カ国中19位)
- 1位:ノルウェー(7.31点)、最下位:メキシコ(3.70点)
- 住宅分野:1位(可処分所得の割合が高い)
- 知識・技能分野:2位(PISA数学平均点が高い)
- 社会的つながり:37位(頼れる人がいない割合が高い)
- 労働・雇用の質:36位、主観的幸福度:35位
報告では、住宅に関する指標が特に良好である点が際立った。住宅関連の指標の一つとして、賃貸や維持費を支払った後に世帯に残る可処分所得の割合は84.83%と高く、これは「住宅費負担が相対的に小さい」ことを示している。
「84.83%というのは、月100万ウォンを稼いだ場合、約15万ウォンを住宅の賃貸・維持費に使うという意味」と研究を担当したチョン・ヘシク研究委員は説明した。
教育面でも高評価が出ている。15歳を対象とする国際学習到達度調査(PISA)の数学平均点は527.3点で、OECD加盟国の中で2位に入った。加えて出生時平均余命は83.5歳で上位に位置するなど、長寿や学力で強みを示している。
社会的つながりと労働の脆弱性
一方で、人々の生活実感や社会的支援に関する指標は極めて低い。困難に直面した際に頼れる親族や友人がいないと答えた割合は20.64%で、OECD38カ国中最悪の水準(37位)だった。主観的幸福度や生活満足度も低く、生活満足度は10点満点で平均6.5点にとどまり、主観的幸福に関する評価も下位圏にある。
労働・雇用に関する指標も課題が多い。労働・雇用の質は36位で、男女間の賃金格差も深刻である。女性の賃金中央値は男性のそれより28.95%低いと指摘され、OECD加盟国の中で格差が特に大きいことが示された。
| 指標 | 韓国の順位/数値 |
|---|---|
| 総合点 | 5.99点(38カ国中19位) |
| 住宅(可処分所得割合) | 84.83%(1位) |
| PISA(数学平均点) | 527.3点(2位) |
| 出生時平均余命 | 83.5歳(5位) |
| 社会的つながり(頼れる人がいない割合) | 20.64%(37位) |
| 労働・雇用の質 | 36位 |
| 主観的幸福度 | 35位(生活満足度6.5点) |
| 男女賃金格差(女性中央値との差) | 28.95%低い |
| 所得5分位倍率 | 5.77倍(27位) |
報告は、こうした分野ごとの大きな差が韓国の特徴であると指摘している。住宅や教育、健康面では高いパフォーマンスを見せる一方、社会的支援や雇用条件、所得分配に関する指標は全般に低迷しており、国民の暮らしの実感と統計上の生活水準が必ずしも一致していないことを示唆している。
チョン・ヘシク研究委員は「韓国は不平等に関する指標や社会的つながり、主観的幸福度が脆弱なため、生活の質を改善する政策課題の開発が必要だ」と述べている。
示唆される政策課題と影響
今回の評価は、韓国が今後取り組むべき政策の方向性を明確に示している。住宅負担が相対的に軽い点や学力の高さは政策の成果として評価できるが、社会的孤立の進行や労働市場での男女格差、主観的な幸福感の低さは、社会的安定や長期的な成長にとってリスクとなり得る。
特に注目すべきは、困ったときに頼れる人がいないと答える割合の高さだ。これは高齢化や家族構造の変化、都市化に伴う地域共同体の希薄化など複合的な要因と関連している可能性がある。労働・雇用の分野での低評価は、働き方や賃金制度、育児や介護と仕事の両立支援の不十分さを反映しているとも読み取れる。
政策立案側にとっては、経済指標だけでなく主観的幸福度や社会的つながりに及ぼす効果を考慮した包括的な対策が求められる。報告は、均衡の取れた発展を実現している国々を参照しつつ、社会的弱点を補う政策の立案と実行を求めている。
今回の分析は、国際比較という枠組みを通じて自国の長所と課題を見直す契機を提供している。韓国のケースは、物的条件や教育水準だけでは捉えきれない「暮らしの質」の多面的な性格を改めて示しており、政策や社会のあり方を問う材料を豊富に提供している。
(執筆:小林 陽菜/プレスリリースジェーピー)