県内企業の採用課題に直接対応する“伴走型”モデル
兵庫県は、G.A.グループ(本社:東京都)を事業運営者に選定し、現地理系トップ校であるホーチミン市工科大学での大学内合同就職フェアに兵庫県企業の出展ブースを設ける「ひょうごのキャリアフェアinベトナム」を実施する。開催予定日は2026年10月3日で、ブース出展は限定15社。県は参加企業の担当者の渡航・滞在費について、1名につき上限8万円(最大2名、合計16万円)を補助する。
G.A.グループは求人段階から内定後の日本語教育、在留資格(技術・人文知識・国際業務)申請、入社支援までをワンストップでサポートするとしており、企業側の手続きを伴走する形で採用から定着までの一連を支援する体制を打ち出している。
「内定から入社・定着まで途切れぬサポートの安心感」を提供するとしている。
今回の取り組みは、地域の中小製造業やIT、人手不足が深刻な事業者が、将来の技術者候補を確保するための実務的な支援を重視している点が特徴だ。企業側の学内フェア出展費用は無料である一方、担当者の渡航滞在費や内定者の日本語教育費、在留資格認定申請料、来日フライト費等は別途必要になる。
兵庫の産業構造と外国人材ニーズ
兵庫県は製造業をはじめ、中小企業が地域経済を支える構造を持つが、少子高齢化の進行と若年層の都市部流出で、労働力供給が逼迫している。特に機械・電気・電子系の技術職やソフトウェア開発の若手人材の不足は深刻であり、採用競争力のある大都市と比較して、地元企業は母集団形成や選考で不利になりがちだ。
こうした背景を踏まえ、海外の理工系新卒をターゲットに採用チャネルを広げることは、短中期的な人手確保の有効策になり得る。今回のフェアでは、在留資格「技人国」の要件を満たす(または満了見込みの)新卒エンジニアと面接できる点が強調されているため、採用後の就労ビザに関する行政手続きの不安を軽減できることが期待される。
実務面での支援内容と参加企業が負う負担
事業の主な特徴と企業側の負担を整理すると、以下の通りだ。
- 出展費用:県の支援により無料(ただし、抽選や審査で参加企業を選定する可能性あり)。
- 渡航補助:1社あたり担当者2名まで、1名上限8万円(最大16万円)を県が補助。
- 企業負担:担当者の渡航滞在費の超過分、内定者の日本語教育費、在留資格認定申請費、来日フライト費は企業負担。
- 運営支援:G.A.グループが求人票作成や学生募集、面接運営、ビザ申請、入社後の生活支援まで一貫して伴走。
具体的なスケジュールとして、事前のオンライン説明会が2026年7月23日に予定され、参加企業は説明会で費用や採用スケジュールの詳細を確認できる。現地渡航の例としては、10月1日に関西国際空港を出発し、4日に帰国する想定が示されている。
地域企業への影響と留意点
県内企業にとって、今回の制度は低コストで海外の優秀な人材に接触できる機会を提供する一方、次の点を確認しておく必要がある。
- 内定後の日本語教育や生活支援の実務的負担:G.A.グループは支援を約束するが、実際の教育・住居手配・社内受け入れ態勢の整備は企業側の協力が不可欠である。
- 在留資格の審査や就労条件:技人国ビザは職務内容や学歴・報酬水準などの要件を満たす必要があり、募集段階で職務要件を適切に設計することが重要だ。
- 定着支援の長期計画:採用後の定着には職場の日本語環境、メンター制度、キャリアパスの提示などが効果を持つ。単発の採用だけでなく、継続的な人材育成計画を伴わせることが推奨される。
採用を検討する事業者は、フェア参加前に求人票の日本語・ベトナム語での整備、勤務条件や住宅手当、入社時期の調整等を事前に固めることでミスマッチを減らせる。G.A.グループは応募者の日本語力や企業文化への適応力を見極める選考プロセスを持つとしているが、最終的な受け入れ後のフォローは企業の責任も大きい。
参加を検討する企業への実用情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 説明会 | 2026年7月23日(オンライン/無料) |
| フェア開催日 | 2026年10月3日(現地:ホーチミン市工科大学) |
| 出展枠 | 限定15社(先着または選考あり) |
| 県補助 | 担当者1名上限8万円、最大2名まで(計16万円) |
参加を検討する企業は、まずオンライン説明会への申込を推奨する。募集が上限に達した場合は、兵庫県と主催者による審査・協議の上で参加企業が決定されるため、関心が高い場合は早めの申し込みが望ましい。
県内の中小企業や製造現場にとって、海外の若手理系人材は即戦力となる可能性が高い。ただし、採用はゴールではなくスタートであり、定着と職場での戦力化を見据えた受け入れ体制の構築が不可欠だ。今回の取り組みが、地域企業の人材確保と事業継続力の強化につながるかは、受け入れ側の準備と長期的な支援体制にかかっている。
(取材・執筆:藤田 早紀)