上昇の実態と鑑定士の調査結果
京都市内の新築分譲マンションの単価は、調査によれば2025年に1平方メートル当たり108万円となり、2020年の74万7千円から約45%上昇した。都心部に比べれば依然割安との指摘もある一方、価格の押し上げ要因として市外や法人による取得が目立っている。
| 対象年度 | 1平方メートル当たり価格 |
|---|---|
| 2020年 | 74万7千円 |
| 2025年 | 108万円 |
| 参考(東京23区) | 210万円超 |
誰が買っているのか
不動産登記情報を基にした鑑定士の独自調査では、ある人気エリア(御所南)で完売したマンションの購入者に次の傾向が示された。
- 所有者の約30%は京都府外に住所を有する
- 法人が占める割合は約23%
- 購入後1年以内に転売された住戸が約5%
これらの数値から鑑定士は、首都圏などを中心とした資産保有や投資、転売目的の買い手が価格形成を牽引している可能性を指摘している。
居住実態と「空洞化」の懸念
調査物件では、購入住戸に実際に住所を移した割合が44%にとどまり、残りの住戸は居住実態が乏しい「潜在的な空き家」となり得ることが示された。居住者の少ない住宅が増えると、防災・防犯上の問題が増大するとの懸念が出ている。
「実効性のある制度にするためには、マンションの管理組合や管理会社が、上水道の検針結果などを行政と情報共有する仕組みなどが必要。それが、価格を抑制する手段の一つになるのではないか」
この指摘は、マンションの利用状況を正確に把握する仕組みが価格抑制策や居住実態確認に不可欠であることを示している。
供給の増加と規制緩和の影響
不動産経済研究所のまとめでは、京都市内で2025年に発売された新築分譲マンションは2306戸にのぼり、12年ぶりに2千戸の大台を回復した。背景には、京都市が人口減少対策として2023年に一部地域で高さ規制を緩和したことがあるとみられる。市中心部からやや離れた地域で大型マンションの建設が相次いでいる。
行政の対応と今後の論点
京都市は2030年度から「空き家税」(非居住住宅利活用促進税)を導入する方針を示しているが、マンションの居住実態を正確に把握することは容易ではない。鑑定士は管理組合・管理会社と行政の情報連携を具体化することを提案しており、導入される制度の実効性が鍵となる。
住民にとっては、次の点が直接的な影響として考えられる。
- 周辺住環境の変化:居住者の少ない建物が増えると、日常の見守り機能が低下し、防犯面での不安が高まる可能性がある。
- 資産価値の変動:投資・転売目的の流入が続けば短期的には地価や住戸価格が上昇するが、将来の需給変化で価格が変動しやすくなる。
- 行政サービス・税制への影響:非居住住宅への課税や実態把握のための仕組みづくりが進めば、税負担や管理の在り方が変わる可能性がある。
市民が注意すべき点としては、購入や賃借を考える際に、実際に居住している比率や管理状況を確認することだ。管理組合の活動状況、共用部分の利用状況、周辺の住宅供給動向などは長期的な生活の質に直結する。
今後の見通しと課題
京都のマンション市場は東京23区と比べれば価格面での割安感があるため、外部資本や首都圏の個人資産が流入しやすい構図が続く可能性がある。一方で、供給増に伴う居住実態の希薄化は自治体や地域コミュニティに負担を及ぼしかねない。
制度面では、空き家税の導入に加え、管理情報の共有や実効ある課税・利活用促進策の整備が重要だ。住民、管理組合、行政、事業者がそれぞれの役割を明確にし、居住実態と地域の安全を両立させる仕組みづくりが求められている。
京都の住まいを巡る問題は価格の上下だけでなく、地域社会の持続性や防災・防犯と深く結びつく。今後の政策決定や管理慣行の変化を注視する必要がある。