6月の倒産、件数は前年上回るも負債総額は4カ月ぶりに減少
信用調査会社の集計によると、2026年6月の兵庫県内の企業倒産(負債総額1000万円以上の法的整理)は、件数が59件で前年同月を1件上回った。一方で、負債総額は25億6900万円となり、前年同月の49億3000万円から減少し、4カ月ぶりに前年同月を下回った。
地域経済に直結するこれらの数値は、件数は増えたものの、比較的規模の小さい事業者の整理が多く、県内の倒産の深刻度にはばらつきがあることを示している。
業種別ではサービス業・小売業が目立つ
業種別の内訳は、サービス業が21件と最多で、小売業が17件と続いた。建設業は8件、製造業と運輸・通信業が各5件、卸売業が2件、その他が1件だった。倒産の主因別では販売不振に伴う「不況型倒産」が50件を占めており、構造的な需要低迷や採算悪化が広く影響している。
| 区分 | 件数 |
|---|---|
| 倒産件数(総数) | 59件 |
| 負債総額 | 25億6900万円 |
| サービス業 | 21件 |
| 小売業 | 17件 |
| 建設業 | 8件 |
小規模事業者が多数、従業員影響は限定的だが懸念は継続
倒産時の従業員数を見ると、10人未満が55件と圧倒的に多く、10人以上50人未満が4件だった。倒産時の従業員合計は103人で、地域全体で見れば雇用数の面で直ちに大きな波及を及ぼすほどの規模ではないが、地元の雇用や供給網に与える影響は無視できない。
信用調査をまとめた帝国データバンク神戸支店は経営環境について次のように指摘している。
「ナフサなど石油由来製品の調達難や価格上昇の影響はいまだ解消されておらず、その見通しは不透明」「建設業においては、工期遅延も生じており、資金繰りの懸念も出始めるなど、今後の倒産件数に作用する懸念もある」
また、長期金利の上昇を挙げ、中小企業を取り巻く環境の厳しさが増しているとの見方を示している。
何が起きているのか:背景と地域への波及
今回の統計からは以下のポイントが読み取れる。
- 倒産件数は増加しているが、負債総額の減少は比較的小規模の事業者の整理が多いことを示す。
- 流通・消費関連の低迷が続く中で、特にサービス業と小売業の販売不振が顕著になっている。
- 建設業は資材価格や工期遅延の影響を受け、今後資金繰り悪化が懸念される。
地域経済の視点では、地場の小規模事業者が多数を占めるため、個別企業の倒産が周辺の下請けや取引先の支払い・受注に波及するリスクがある。特に商店街や地域サービス業では、客足の減少が続くことで収益性がさらに低下し、連鎖倒産の懸念も完全には排除できない。
事業者と住民にとっての実務的な示唆
今回の動きは、次のような実務的対応を促す。
- 資金繰りの早期点検と金融機関・信用保証の相談:売上の見通しが厳しい事業者は、早めに金融機関や信用保証機関に相談して支援制度や融資条件の見直しを検討することが重要だ。
- コスト管理と取引先リスクの把握:資材価格や流通の変動が続く分野では、材料調達先の多角化や契約条件の見直しが有効となる可能性がある。
- 自治体・商工団体との連携強化:経営相談窓口や事業再生支援の活用、商工会議所などと連携した販路開拓策の検討が必要になる。
県内の小規模事業者にとって最も避けたいのは、資金繰り悪化が表面化してから対応を始めることだ。早めに現状を把握し、公的支援や金融機関の提案を受けることで、破綻の回避や影響の最小化を図る余地が残る。
今後の注視点
半年累計(2026年1〜6月)では倒産件数は前年同期比で減少している一方、負債総額は前年同期を上回り、金額ベースでは厳しさが増している。具体的には、1〜6月期の倒産件数は317件(前年同期比16件減)だが、負債総額は355億3000万円と前年同期(253億5200万円)から増加している。
この矛盾する動きは、大規模な企業破綻が断続的に発生すると総額が急増する一方で、件数自体は小規模の整理でカバーされる、という状況を反映している。今後は中規模以上の企業の資金需給や国際的な原材料価格の動向、そして金融市場の金利動向が県内企業の倒産リスクに直結する。
地域の金融機関、自治体、商工団体は連携して早期支援の体制を整える必要がある。事業者は現状の数字を冷静に受け止め、早期の専門家相談と伴走的な対策の実行が求められる。
(記者:藤田 早紀)