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兵庫県、財政指標の悪化で早期健全化団体に転落する可能性示す

兵庫県は、不適切な財政処理の発覚や金利上昇を受けた再試算の結果、2030年度に「早期健全化団体」へ転落する可能性があると公表した。県は投資費を一定割合削減する計画を示し、県民生活やインフラ維持への影響が懸念される。

兵庫県、財政指標の悪化で早期健全化団体に転落する可能性示す
©イラスト AI生成 :藤田 早紀/プレスリリースジェーピー

県の再試算で実質公債費比率が悪化、転落回避へ投資抑制を決定

兵庫県は13日、公表した財政健全化に向けた計画の素案で、2030年度(令和12年度)に「早期健全化団体」に転落する可能性があると明らかにした。背景には、公共用地取得のために起債して得た債金を本来の用途とは異なる基金に組み入れるなどの不適切な財政処理の発覚と、長期金利の上昇を受けた再試算の結果があるという。県は転落を回避するため、投資費用の抑制を柱とした対策を示した。

具体的には、県は2027年度から最長9年間、施設整備や道路補修などに充てる投資費用を最低10%削減する方針を素案に盛り込み、8月に正式決定する予定としている。知事は記者団に対し、「数年間は厳しい行財政改革をやっていくことは避けられない。その過程をオープンにし、県民に理解してもらえるようにしていく」と述べた。

「数年間は厳しい行財政改革をやっていくことは避けられない。その過程をオープンにし、県民に理解してもらえるようにしていく」

地方財政法の基準では、直近3年間の平均で実質公債費比率が18%以上になると「起債許可団体」となり、地方債発行にあたって総務相の許可が必要となる。さらに25%以上だと「早期健全化団体」に移行し、財政健全化計画の報告や外部監査が義務付けられる。県の再試算では、長期金利を現在の水準とされる3%で推移すると仮定した場合、3年間の平均が2030年度に25%に達する見込みとなったという。

不適切処理と試算への影響

県は今年2月に、起債許可団体への移行が見込まれると発表していたが、その後の報道機関の指摘を受け、過去の処理に不備があることが判明した。用地取得のために起債して得た490億円を、借金返済用の「県債管理基金」に組み入れていたが、この扱いがルール上不適切であったと県財政課は説明している。一部報道では、うち338億円分に関して地方財政法違反の可能性がある処理があったとされる。

この490億円を県債管理基金から除いた上で再計算した結果、実質公債費比率はさらに悪化し、想定より早期に基準に接近する結果となった。県はまず投資抑制によって短期的な基準超過を回避する方針だが、根本的な改善には歳入歳出を含めた抜本的な改革が必要だとしている。

県民生活と地域経済への影響

投資費の抑制は、公共施設整備や道路補修、教育や防災関連インフラの更新計画に直結する。県が示した素案通り「最低10%」の投資抑制が実行されれば、当面は大型の整備事業の先送りや縮小が避けられない可能性がある。具体的に影響が想定される分野は次の通りだ。

  • 道路・橋梁・堤防などの維持補修スケジュールの見直し
  • 公共施設の建て替え・耐震改修の延期や段階的実施
  • 地域振興や観光関連の新規投資の抑制

とくに阪神・淡路大震災の復旧・復興に伴う県債残高が財政を圧迫している点は見過ごせない。県債残高のうち、震災関連が2025年度末で1138億円あるとされ、これが長期的な公債費負担に影を落としている。

対応の枠組みと今後の工程

県が公表した素案は、まず当面の緊急対策として投資規模を抑制し、並行して来年度から歳入歳出を含めた全般的な見直しを行う検討に入る内容だ。県の試算では、来年度から大幅な投資抑制を行うことで、短期的に基準を超える事態を単年度にとどめ、翌年以降は減少に転じさせることが可能と分析している。ただし、素案の段階では、当初の想定より早期に基準に達する見込みとなったため、慎重な対応が求められる。

総務省によれば、これまで都道府県で「早期健全化団体」に実際に移行した例はないというが、移行の可能性が示されたことで県内の財政運営に強い緊張感が走っている。県は8月に素案を正式決定し、その後具体的な施策の優先度や影響度を精査するとしている。

項目数値/状況
不適切に組み入れられた起債額490億円
一部で懸念のある処理338億円(報道による指摘)
震災関連の県債残高(2025年度末)1138億円
想定長期金利3%(県の試算前提)
投資抑制の方針2027年度から9年間、最低10%削減

記者の視点――透明性と住民理解の必要性

今回の事態は、不適切処理の発覚という内部管理の課題と、金利上昇という外部環境の変化が重なって生じた。県が公表した素案は短期的なリスク回避を意図しているが、具体的な事業別の影響や、低下する投資が地域経済や防災力に及ぼす波及を丁寧に示していくことが重要だ。県民にとっては、インフラ整備の遅れや公共サービスの縮小が生活に直結するため、透明性の高い情報提供と説明が求められる。

今後は正式決定に向けた議論の過程で、投資抑制の対象や期間、影響を最小限にとどめるための代替策、歳入増・支出見直し案などが焦点となる。県は8月の決定に向けて、具体的な試算や市町との調整を急ぐことになるだろう。

(藤田 早紀/兵庫県担当記者)

藤田 早紀
藤田 AI編集 兵庫県担当記者 オンライン

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