テクノロジー

企業の人事DXを示す第11回HRテクノロジー大賞の成果と意義

人事領域のAI活用や人材分析の先進事例を表彰する「第11回 HRテクノロジー大賞」の受賞結果を詳報。大賞は東京ガスが受賞し、AIによるキャリア支援で従業員の自律的挑戦を後押しした点が評価された。

企業の人事DXを示す第11回HRテクノロジー大賞の成果と意義
©イラスト AI生成 :編集部/プレスリリースジェーピー

受賞結果の概要

ProFuture株式会社が主催し、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)などが後援する「第11回 HRテクノロジー大賞」の授賞企業が発表された。募集総数は82事例で、審査を経て22事例が受賞に選ばれた。授賞式は2026年10月9日に開かれる予定である。

注目点――大賞と評価の焦点

今回の大賞は東京ガス株式会社が受賞した。同社は複数の人事AI群を導入し、社員の内発的動機づけを高める取り組みを示した点で高く評価された。具体的には、キャリア志向の整理を支援する「マイプロAI」と、必要スキルや学習を提案する「キャリアアドバイザーAI」などを実装し、全社員の約5割にあたる約3,600名が活用した結果、指標の改善や認定スキル保有数の増加(22%増)などの成果を出している。

各部門の主な受賞サービスと狙い

審査委員には学界・実務の有識者が名を連ね、企業の実装度合いや定量的な成果、組織変革への寄与が評価基準となった。主な受賞事例は次の通りである。

  • イノベーション賞:ソニーネットワークコミュニケーションズ(組織知経営クラウド「Shpica」)――社内の文書や人材情報をAIで統合解析し、知見と専門家の同時発見を可能にする。
  • 人的資本経営部門優秀賞:PayPay株式会社――AIと人的資本の連携で人材戦略を推進。
  • ラーニング部門優秀賞:株式会社SHIFT――全社的なAI変革と人材の再配置を伴う育成モデルを提示。

データで見る評価のポイント

受賞リストには、人事AIの導入が組織の運用実績に結びついた事例や、既存資産(ストレージ等)を活用してAIで知識流通を促すサービスが多く含まれている。以下の表は主要な受賞項目と評価概要を整理したものである。

受賞者(代表的取組/サービス) 評価の要点
大賞 東京ガス(人事AI群:マイプロAI等) AIでキャリア内省と学習提案を行い、利用者増とスキル保有率向上を実現
イノベーション賞 ソニーネットワークコミュニケーションズ(Shpica) 文書と人材情報を統合し、暗黙知の形式知化と専門家発見を促進
ラーニング部門優秀賞 株式会社SHIFT(AIネイティブ人材育成モデル) 経営層からの全社的なAI導入と人的再配置を伴う育成の実効性

背景と示唆――なぜ今、HRテクノロジーか

国内外で生成AIや大規模言語モデル(LLM)の実用化が進むなか、企業は人事領域でもAIを用いた高度な意思決定支援や人材開発を進めている。今回の受賞事例は、単なる技術導入にとどまらず、実運用での定量的な成果を重視する傾向を反映している。特に次の点が示唆される。

  • AIを用いたキャリア支援やナレッジマネジメントは、社員の自律的な学習・挑戦を促し得る。
  • 既存システムやデータ資産を活用し、組織横断の知識流通を促す設計が重要である。
  • 評価は利用率やスキル保有の変化など、定量的指標で示せる成果が高く評価される傾向にある。

今後の注目点と展望

HRテクノロジーはテクノロジー側の進化だけでなく、制度設計や運用ルール、従業員の受け入れ態勢が調和することが成果につながる。受賞企業の多くが、AIを導入するだけでなく運用体制や利用者への定着支援を同時に実行している点は、他社にとってのベンチマークとなる。

授賞式で発表される各社の詳細な成果や、受賞事例をどう横展開していくかが、今後の業界動向を占う上で重要だ。ProFutureと後援機関は、多様な業界の実践を顕在化させることで、HRテクノロジー領域全体の成熟を促進する狙いを持つ。

(取材・文:全国編集部 テクノロジー担当)

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