茨城県内で、刑務所や少年院を出所した人などの更生支援を担う法務省委嘱の非常勤職務、保護司の人員が減少し、今年6月1日現在で879人となった。県の定数は969人で、実員は定数を下回り過去最低水準に落ち込んでいる。水戸保護観察所は地域の団体や自治体と連携して新たな担い手確保に本腰を入れる方針を示した。
経緯と現状
保護司は出所者らに対する面談や生活指導、就労や住居に関する助言などを行う民間のボランティアに位置づけられる。実務上の費用実費は支給されるが、報酬が支払われる常勤職ではなく、多くが無報酬で活動している。
県内の保護司数はここ数年で徐々に減少してきた。過去の推移では、2018年1月1日に948人で過去最高とみられた後、段階的に減少。直近では今年1月1日時点で899人、6月1日には879人となり、定数充足率は約90.7%にまで低下した。
県内の保護司は、6月1日時点で879人にまで減少している。
担い手不足の背景
減少の背景には、人口減や地域コミュニティの希薄化に伴う推薦・後継者探しの難航、就任に対する心理的なハードルの上昇がある。とくに近年は、保護司に関連した事件が社会的な注目を集めたこともあり、就任を躊躇する人が増えたという自治体側の実感がある。
年齢構成を見ると、県内の保護司の平均年齢は約65歳で、高齢化が進んでいる。最高年齢は法務省の上限である79歳に達しており、新任者の年齢は50代後半が中心という実情がある。
国・県の対応と住民への影響
こうした状況を受け、法務省は任用基準の見直しを行い、任期延長や再任年齢の引き上げ、新任時の年齢上限撤廃など措置を講じている。茨城県内でも水戸保護観察所が中心となり、保護司会と協力して市町村広報や各種団体を通じた呼びかけを新たに展開している。
保護司が不足すれば、面談回数の確保が難しくなったり、地域での見守りや支援の手が薄くなる恐れがある。結果として、保護観察対象者の再犯予防や社会復帰支援の質が落ちる可能性があり、地域安全や生活支援の観点からも懸念される。
地域で期待される取り組みと応募の流れ
関係機関は、以下のような対策を想定・実行している。
- 市町村広報や自治体会議、各種団体の場での継続的な周知活動
- 推薦制に頼らない公募や説明会の開催による新任者へのアクセス改善
- 高齢の保護司が無理なく続けられる負担軽減策の検討
保護司に関心のある住民は、居住自治体の広報や窓口、または各保護観察所を通じて応募・相談が可能だ。水戸保護観察所は市町村や保護司会と連携して具体的な募集方法を広げており、地域での説明会や推薦募集の情報は今後増える見込みである。
データで見る推移
| 日付 | 実人数 |
|---|---|
| 2018年1月1日 | 948 |
| 2025年1月1日 | 899 |
| 2026年6月1日 | 879 |
| 定数 | 969 |
(注)年次表記は報道時点の公表資料に基づく。
記者解説:住民生活への直結性
保護司は名目上は非常勤の法務委嘱職だが、日常的には地域社会の安全や更生支援に直結する役割を果たしている。面談の頻度や質が低下すれば、必要な支援が届かず生活や就労の立て直しが遅れ、結果的に再犯リスクの上昇につながる可能性がある。自治体と民間団体が連携して分かりやすい説明機会を増やすこと、若年層や企業人の参加を促す柔軟な任務設計を検討することが、地域の安全を保つためにも急務だ。
中村 智子(茨城県担当記者)