函館でスマホ実践型の詐欺防止ツール公開へ
巧妙化する詐欺や闇バイト勧誘に対し、函館市内の大学生チームがスマートフォンで実際のやり取りを疑似体験できるサイトを開発した。開発したのは公立はこだて未来大学の学生3人で、今月市内で体験イベントを開き、約20人が参加した。シミュレーターは複数の手口を再現し、体験終了後に防犯傾向を示す診断結果が表示される仕組みになっている。今後、道警のホームページで公開される予定だ。
開発メンバーの一人である公立はこだて未来大学3年の櫻井弘人さんは「最近の新しい手口を知らない人が多い」と述べ、地域住民に注意喚起したい意図を示している。ほかに公立はこだて未来大学2年のコーワン壮真さんと干場行晟さんが参加した。
- 体験した手口の一例に「警察官を名乗る詐欺」があり、電話着信画面から会話形式で進む。
- 体験後は性格診断のように、防犯に関する傾向が示される。
- 市内イベントでは約20人が体験し、参加者からは「パニックになる可能性がある」「危険性を改めて知れた」といった感想が出た。
再現された手口の一つを取材で体験した場面では、電話画面に「警察官タナカ」を名乗る人物から口座不正利用の連絡が入り、「自宅へ警察官を向かわせ任意同行の対応をしますがよろしいですか」といったやり取りが表示され、利用者は画面に出る選択肢を選んで進める方式だった。開発チームは、より現実に近い再現を目指し何度も警察側の意見を取り入れて改良したという。
函館中央警察署生活安全課の相原達哉巡査部長は「最初の時よりレベルが上がってきているので本当に完成が楽しみです」と評価した。
地域にとっての意義は明確だ。参加者の声には「突然電話がかかってきたらパニックになるかもしれない」「やる前と違って闇バイトの危険性を知れたので注意したい」といった実感が含まれている。若年層だけでなく高齢者も標的になりやすい手口が多いことから、スマホでの擬似体験が幅広い年齢層への啓発に寄与する可能性がある。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発主体 | 公立はこだて未来大学の学生チーム(3人) |
| 体験イベント | 函館市内で実施(参加者 約20人) |
| 再現する手口 | 警察官を名乗る詐欺、闇バイト勧誘、ほか計3種類のシミュレーター |
| 公開予定 | 北海道警察のホームページでの公開を予定 |
今回の取り組みは、次のような実務的な利点を持つ。
- 実際のやり取りを疑似体験することで、いざという場面で冷静に対応する練習になる。
- 選択肢を選んで進める能動的な参加型のため、受け身の説明よりも記憶に残りやすい。
- 体験後の診断で各自の脆弱性が見える化され、家族や自治体の見守りにつなげやすい。
住民が知っておくべき具体的な点として、シミュレーターから学べる次の対応が挙げられる。まず身に覚えのない緊急連絡や金銭要求に対しては、第三者機関(警察署の公式窓口など)へ自ら電話して確認すること。次に、知人からの「ちょっと手伝って」や「空いてる日に来てくれない?」といった誘いでも、現金受け取りや指定住所での受け取りを伴う案件は疑うべきだ。最後に、迷った場合は家族や信頼できる周囲に相談することが重要だ。
開発チームは今後、道警の公式サイトでの公開に合わせてより多くの住民がアクセスできるように整備を進めるとしている。地域の防犯力を高めるためには、こうした実践的な教材を自治体や学校、地域団体が積極的に取り入れ、若年層から高齢者まで幅広い層に周知していくことが求められる。
函館では身近な人からの誘いをきっかけに被害に遭うケースもあり得る。今回のシミュレーターが広く利用されることは、被害の未然防止と地域の安全意識向上につながると期待される。