墓の移転や墓じまいが増加 背景に高齢化と永代供養の広がり
お盆を前に、鳥取県内で墓の移転や墓じまい(改葬)を選択する世帯が増えている。報道によれば、ここ15年程度の間で改葬件数は上下を繰り返しつつ全体として増加傾向を示しており、鳥取県でも件数が約200件から900件へと拡大している。近隣の島根県でも同様の傾向があり、2010年の約900件から2024年には約1700件に達している。
増加の背景として報告されているのは、住民の高齢化や転居に伴う墓参りの困難、子世代が管理を引き継げないことを理由にした永代供養への移行、そして近年人気が高まっている樹木葬や合葬墓など新しい墓の形態がある。これらは、遺族や子孫に代わって寺院や霊園が管理するケースが多い。
行政手続きと、準備不足が招くトラブル
改葬を行う場合、自治体への届け出は法律で義務付けられている。鳥取市役所市民課の担当者は、改葬申請の流れとして現在の墓地の管理者からの納骨確認証明を受け取って自治体に申請し、許可を得る手順を説明している。
「改葬許可を得るにあたっての手順ですね。行政での分だけになるんですが申請書を書いてもらって、今お墓があるところの管理者の納骨されてるよっていう証明をいただいてから、自治体の方に申請してもらって、許可を得るという流れになります」
しかし、準備が十分でないまま進めると親族間での誤解やトラブルに発展することがある。鳥取市の担当者は、実際に「墓参りに行ったら墓がなかった」といった相談が発生したと明かしている。手続きを行った者の連絡や合意が家族内で共有されていなかったことが原因の一例だ。
住民にとっての具体的影響と費用面の注意点
墓じまいや改葬は単に遺骨の移動だけで済む話ではない。主な影響・留意点は次の通りだ。
- 手続きの負担:改葬申請に必要な書類の取得や管理者とのやり取り、自治体窓口での手続きが発生する。
- 金銭的負担:墓石の撤去や撤去後の更地化、移転先の永代使用料や納骨料など、想定外の費用がかかる可能性がある。
- 供養方法の選択:樹木葬、合葬墓、納骨堂、一般墓など様々な選択肢があり、管理方法や供養のあり方が変わる。
- 親族間の合意:誰が手続きを行うか、費用負担はどうするか、供養の方法をどうするかなどを事前に共有しておく必要がある。
報道では具体的な費用額は示されていないが、墓石の撤去や移転には数十万円の規模になるケースが一般的に知られている。費用は墓石の大きさ、撤去作業の範囲、移転先の種類によって大きく変わるため、見積もりを複数取ることが望ましい。
最近の墓の形態と選ばれる理由
購入された墓の種類のアンケートでは、近年樹木葬がトップシェアになったという調査結果が示されている。樹木葬は墓石の代わりに樹木や自然物を墓標とする形式で、景観に溶け込みやすく管理を委託しやすい点が支持されている。次いで合葬墓(他の無縁者と共同で供養する形式)や納骨堂、一般墓が続く。
これらの選択は、後継者がいない、遠方で墓参りが困難、管理の手間を省きたいといった理由と結びつく。永代供養を利用すれば、子世代の負担を軽減できる一方で、集合型の供養で個別の墓標が残らないなどの点もあるため、価値観に応じた判断が必要だ。
手続きの実務的な流れと相談先
改葬を検討する際の一般的な流れは以下のとおりだ。
| 段階 | 主な内容 |
|---|---|
| 1 | 移転先(永代供養・納骨堂・新墓地など)を決定 |
| 2 | 現在の墓地管理者から「埋蔵(納骨)証明」などの必要書類を入手 |
| 3 | 自治体に改葬許可申請を提出 |
| 4 | 墓石撤去・遺骨の搬出・新納骨先への納骨 |
相談先としては、まず現状の墓地を管理する寺院・霊園、移転先候補の霊園や納骨施設、そして自治体(市区町村の市民課・戸籍担当窓口など)が挙げられる。特に自治体の窓口は改葬の許可手続きに関する正式な案内を行うため、事前に必要書類や手続き要件を確認することが重要だ。
地元自治体の呼びかけと今後の展望
鳥取市の担当者は、改葬件数はこの10年で約3倍に増えたと説明している。市の呼びかけとしては、親族間で事前に十分な話し合いを行うこと、移転先や費用の見通しを整えておくこと、そして自治体の手続きを踏むことが強調されている。
地域にとっては、無縁墓や管理の行き届かない墓地の増加は景観や墓地管理の負担にもつながりかねない。今後は永代供養や樹木葬といった受け皿の拡充と、住民への周知、費用の透明化が課題となるだろう。
お盆に親族が集まるこの時期は、墓の取り扱いを巡る意思確認や話し合いを行う機会として適している。手続きを進める際は、関係者全員で情報を共有し、自治体窓口の案内に従って申請を進めることがトラブル防止につながる。
(長谷川 豊、プレスリリースジェーピー鳥取県担当)