群馬の公立校体育館、冷房設置率は35.6%に上昇
文部科学省が公表した公立学校の冷房設置状況(5月時点)を受け、群馬県内の小中学校の体育館等565棟の冷房設置率は35.6%と分かった。前年同時期の22.9%から上昇しているが、依然として多くの体育館が冷房を備えておらず、地域の避難所機能や児童生徒の健康管理の観点で課題が残る。
県教育委員会の取りまとめでは、幼稚園の体育館等は28棟中89.3%が設置済みで全国と概ね同程度だったのに対し、高校は168棟中14.9%、特別支援学校は27棟中25.9%と低い水準にとどまる。普通教室については幼稚園、小中、高校、特別支援学校ともにほぼ100%の設置が進んでいる一方、体育館や特別教室に差がある。
「学校の体育館に冷房を設置するには、1カ所につき約1億円がかかるという。」
費用の大きさが普及のネックとなっており、県教委は2024〜2028年度の計画で県立学校の主要体育館全てに冷房を設置する方針を掲げている。対象となる81校のうち、今年5月までに25校に設置を完了しており、2026年度はさらに30校に設置する予定だという。
重要なのは、体育館の多くが災害時の避難所に指定されている点だ。県内の小中学校体育館等の9割超が避難所として機能しており、国は避難所となる学校施設の体育館等の冷房設置率を2035年度までに100%にする目標を掲げている。酷暑の長期化を受け、避難所の環境整備は住民の安全確保に直結する課題だ。
地域への影響と課題整理
冷房未設置の体育館が多い現状は、次のような影響をもたらす可能性がある。
- 災害時の避難所運営:高温下での長期避難を想定すると、熱中症リスクが高まる。
- 学校行事や授業への影響:運動会や部活動、集会などで熱中症対策の制約が続く。
- 地域住民の安心感:避難施設としての信頼性に不安が残る。
県教委は設置の優先順位を室温や避難所指定の有無などで決め、国の交付金制度を活用するよう市町村に周知している。費用負担の軽減策として国の補助を活用することが想定されるが、補助を受けるための手続きや条件、自治体ごとの財政事情が進捗に影響を与えている可能性がある。
設置進捗の内訳と今後の計画
県発表の数字から読み取れる現状と今後の計画は次の通りだ。
| 区分 | 対象棟数 | 設置率(%) |
|---|---|---|
| 小中学校体育館等 | 565 | 35.6 |
| 幼稚園体育館等 | 28 | 89.3 |
| 高校体育館等 | 168 | 14.9 |
| 特別支援学校体育館等 | 27 | 25.9 |
県立学校の主要体育館については、2024〜2028年度の計画で順次設置を進める方針。進捗は年度ごとに把握され、今年5月時点で対象81校のうち25校に設置済み。26年度は30校を予定している。残る年度での整備計画や財源配分が今後の焦点となる。
住民・保護者にとっての実務的なポイント
保護者や地域住民が知っておくべき点は次の通りだ。
- 避難所の環境:お住まいの自治体が指定する避難所に冷房があるかどうかは自治体の防災情報で確認する。
- 学校行事の熱中症対策:運動系行事の実施形態や日程変更、保護者への連絡体制が変わる可能性がある。
- 市町村への働きかけ:予算や補助金の活用状況は自治体ごとに異なるため、地域単位での情報共有や要望提出が効果的だ。
また、冷房設備導入には施設整備のほか電力供給や運用経費も課題となる。長期的には再エネ導入や非常時の電源確保といった技術的・財政的な観点からの検討が必要だ。
今後の注目点
県内の冷房整備は進んでいるものの、特に高校や特別支援学校での設置率が低い点は見過ごせない。避難所としての機能、児童生徒の安全確保、地域防災の観点から、今後の年度別計画と実施状況、国の交付金の活用状況、自治体ごとの財政対応を継続的に点検する必要がある。
県教委は市町村への周知を続けるとし、県立学校については優先的に整備を進める方針だ。住民は自治体の防災情報や学校からの連絡に注意し、地域での意見交換や要望提出を通じて整備の後押しをすることが求められる。
(加藤 美咲・群馬県担当記者)