増加する外国人ドライバーの事故と警察の取り組み
観光シーズン入りに伴い、北海道内で外国人観光客が運転するレンタカーによる事故が増えている。北海道警が4日に行った啓発活動では、レンタカー店舗で訪日客に向けて日本の道路標識や一時停止のルールを外国語で説明するチラシなどを配布し、運転マナーと安全確認の徹底を呼びかけた。
「止まれサインをみたら、一時停止しないとダメ。安全運転で、旅行を楽しんでください」
この呼びかけは、旭川中央警察署の交通官・菊地仁希氏のコメントをもとにしている。菊地氏は、レンタカー会社と協力した取り組みが事故防止に有効だと述べている。
現状と最近の事例
北海道警のまとめによれば、6月末時点で25件の事故が発生しており、前年の通年の事故件数(2025年は28件)に迫る勢いだ。7月にも深刻な事案が発生しており、香港からの観光客が乗車したレンタカーが富良野市の国道で乗用車と正面衝突し、50代の女性が死亡した。警察はこうした重大事故を受け、啓発活動の強化を決めた。
なぜ事故が増えているのか──背景要因
増加の背景には複数の要因が考えられる。まず、北海道は広域移動を伴う観光地が点在し、レンタカー利用が一般的であること。次に、訪日外国人の増加に伴い、左側通行や標識の意味、交差点での一時停止など日本特有の交通ルールに不慣れなドライバーが増えていることが挙げられる。加えて、地方では夜間・早朝の視界不良や降雪後の路面変化など、都市部と異なる運転条件が存在する。
住民と観光客への具体的な影響
事故の増加は住民の安全に直接影響する。観光ルート付近の交通混雑や、地域医療への負担、事故処理に伴う通行止めや観光客の心理的負担など、多面的な波及効果がある。訪れる観光客にとっても、事故や法令違反は旅行計画の中断や高額な賠償問題、場合によっては刑事手続きに発展するリスクがある。
- 地域の救急・医療体制に与える負担増
- 観光ルートの通行制限による経済的損失
- 観光地のイメージ悪化と訪日客の安全確保の必要性
警察とレンタカー業者の連携策
北海道警はレンタカー会社と連携し、多言語で作成した啓発資料の配布や口頭での説明を行っている。配布物は日本の道路標識の意味や「止まれ」サインでの一時停止の徹底を中心に、観光客が誤解しやすいポイントを分かりやすく示す構成とされている。警察は今後も事業者との協力を続け、現地での理解促進を図る方針だ。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 事故件数(6月末時点) | 25件 |
| 参考:2025年通年件数 | 28件(比較指標) |
| 直近の重大事案 | 富良野市での正面衝突、50代女性死亡 |
現場でできる対策と利用者への助言
警察と業界の取り組みだけでなく、観光客自身が事前に注意すべき点がある。以下は現地での安全運転に資する基本的な助言だ。
- レンタカー受け取り時に必ず運転ルールや標識の説明を受けること
- 特に交差点や見通しの悪い場所では速度を落とし、一時停止を徹底すること
- 夜間や悪天候時の運転は避ける、無理な走行をしない
また、宿泊先や旅行会社も訪日客に対して、左側通行や一時停止といった基礎的な情報を案内資料に加えることが求められる。地元自治体や観光協会が多言語での情報発信を拡充することも有効だ。
今後の展望と課題
観光客の安全と地域住民の暮らしを守るためには、法令周知の徹底に加え、業界全体での取り組みが必要だ。具体的には、レンタカー会社でのカーナビ設定や運転支援機能の活用、インバウンド向けの運転教育コンテンツの整備、観光ルートの安全点検などが考えられる。警察は啓発活動を継続するとしており、地域と事業者、訪日客が協力して事故防止に取り組むことが求められる。
北海道の多くの観光地は車での移動が不可欠だ。増え続ける訪日需要に伴う交通安全対策をいかに現場に浸透させるかが、来訪者の安全確保と地域観光の持続可能性を左右する重要な課題となっている。
(佐藤 大地、北海道担当)