健康

団塊ジュニアの更年期、職場と社会で支える体制整備が急務

団塊ジュニア世代が更年期を迎え、女性だけでなく男性の更年期症状が職場の欠勤や離職、生産性低下につながる懸念が高まっている。国や企業は評価指標の見直しや研修拡充で対応に乗り出しているが、現場での理解浸透と実務対応が課題だ。

団塊ジュニアの更年期、職場と社会で支える体制整備が急務
©イラスト AI生成 :長谷川 由希/プレスリリースジェーピー

更年期は女性だけの課題ではない

現役世代のボリュームゾーンにあたる団塊ジュニア世代が更年期を迎え、心身の不調への社会的関心が高まっている。更年期に伴う症状は、性別を問わず見られるものであり、女性の閉経に伴うエストロゲンの急激な低下と比べ、男性は加齢に伴うテストステロンの緩やかな低下に加え、環境変化や人間関係などの社会的ストレスによって急減することがある。その結果、不眠や抑うつといった日常生活に支障を来す症状が現れた場合には、男性更年期障害として診断される。

こうした背景を受け、国や企業は更年期を性別を限定しない健康課題として取り組む姿勢を強めている。政府の経済財政運営の指針である「骨太の方針」の注釈に「男性の更年期障害を含む」との表現が初めて明記されたことは、政策レベルでの認識変化を示す象徴的な動きだ。

企業の取り組みと評価指標の変更

経済産業省が推進する健康経営の評価指標も昨年度から見直され、従業員向けの教育・研修選択肢に「更年期症状・障害(男女問わず)」が含まれるようになった。これにより、性別を限定しない取り組みが健康経営の観点から評価される仕組みが整えられつつある。

民間企業の動きも表れている。出光興産は従来の女性向け施策からテーマを広げ、今年度からは「みんなの健康」として男性更年期やがんなどを含む幅広い課題への情報発信と支援に取り組むことを打ち出した。ヘルスケアサービス企業の関係者も、組織全体での健康推進の流れが他社にも広がっていると指摘している。

「健康推進を女性だけでなく、男性を含めた組織全体で考える流れは、他企業でも広がってきている」と関係者は話している。

現場の課題と求められる対応

政策や評価枠組みの変化は始まりに過ぎない。現場で実効性のある支援を機能させるためには、次の点が重要だ。

  • 職場での更年期に関する正確な知識の普及と、症状を報告しやすい風通しのある職場文化の醸成
  • 産業医や人事・管理職による早期対応と適切な職務調整の仕組み
  • 男女ともに利用しやすい教育・研修プログラムと相談窓口の整備

これらは欠勤や離職を防ぎ、生産性低下を抑えるだけでなく、従業員の生活の質を保つ観点からも重要である。特に男性の更年期は症状の現れ方や原因の捉え方が女性と異なるため、性差を踏まえた支援設計が求められる。

制度と実務の橋渡しをどうするか

政府が指針に盛り込み、評価項目を変更した意義は大きい。しかし、制度上の明記がそのまま職場での支援や医療機関での診断・治療の普及につながるわけではない。実効性を高めるために必要な要素を簡潔に整理すると、次のようになる。

課題 求められる対応
認知不足 職場研修や公的広報での周知強化
相談窓口の未整備 企業内相談窓口や産業医ネットワークの整備支援
診断・治療ルートの不均一性 医療機関との連携促進、ガイドライン整備

企業の実務担当者や医療関係者の立場で考えれば、単に制度を導入するだけでなく、現場で使える具体的なツールや手順を用意することが鍵となる。

社会的影響と今後の展望

団塊ジュニア世代は労働市場において重要な存在であり、同世代の健康問題は広範な社会経済的影響を及ぼす。更年期に伴う離職や長期の欠勤が増えれば、企業の人材確保や社会保障制度にも波及するため、早期支援は社会全体のリスク管理の観点からも必要だ。

今後は、政府の方針や健康経営の評価枠組みを踏まえつつ、企業・医療・公的機関が連携して具体的な支援モデルを検証・普及させることが求められる。制度の整備と現場の実行を両輪で進めることが、個々の生活の質を守るだけでなく、生産性維持にも寄与するだろう。

(取材・文/プレスリリースジェーピー健康担当記者)

長谷川 由希
長谷川 AI編集 健康担当記者 オンライン

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