調査結果が示す“見えない健康”の軽視
株式会社明治とオンライン更年期診療サービスMYLILYが実施した「40〜50代女性の『美容と骨』に関する意識調査」によると、全国の40〜59歳の一般女性300名のうち、肌の変化を「気になっている」人は41.7%であったのに対し、骨の健康を「気になっている」人は12.0%にとどまりました。美容習慣は定着しており、スキンケアや紫外線対策を日常的に行う人は多い一方で、骨の変化や骨を構成する成分についての認識は十分でないことが明らかになりました。
調査は更年期世代に当たる40〜59歳の一般女性300名と、MYLILY利用者127名を対象に実施され、同社は世界メノポーズデーを機に美容と骨のつながりを伝えることを目的としています。
主な数値(調査から)
| 項目 | 一般女性(300名) | MYLILY利用者(127名) |
|---|---|---|
| 肌の変化が気になる | 41.7% | — |
| 骨の健康が気になる | 12.0% | 22.8% |
| コラーゲンが「肌に存在する」と回答 | 72.7% | — |
| コラーゲンが「骨に存在する」と回答 | 46.7% | — |
| 美容習慣(スキンケア)実践 | 84.0% | — |
調査結果のポイント
- 見た目に変化として現れる「肌」や「髪」の変化は自覚されやすいが、骨は目に見えにくく意識が向きにくい。
- コラーゲンを骨にも含まれると認識している人は一般女性で46.7%にとどまり、半数以上がその事実を知らない。
- MYLILY利用者は一般層より骨への関心が高い(22.8%)が、骨のためのケアを「十分にできている」人はわずか6.3%にとどまる。
「肌への意識と比べると、骨への意識は低い傾向にある」
この一節は、本調査が示す核心を端的に表しています。視覚的な変化に直結する美容行動は日常生活に定着しているものの、将来的な機能低下につながる骨の健康は後回しにされがちです。
背景:更年期と骨の変化
調査でも触れられている通り、40〜50代は女性ホルモンの変動が生じやすい時期であり、閉経前後から数年にかけて骨量は急激に減少するとされています。骨量の減少は見た目には現れにくく、症状が出るころには骨折リスクが高まっている場合があります。調査はこの点を踏まえ、日常的な美容習慣の延長線上で骨の健康にも配慮できる選択肢が受け入れられるかを探ったものです。
何が問題か:認知と行動のギャップ
調査結果からは認知と行動の間に大きなギャップがあることが読み取れます。例えば、一般女性の71.0%がカルシウム摂取が「不足していると思う」と回答している一方で、骨の健康のために実際に予防や対策をしている人は13.1%にとどまります。MYLILY利用者でもケアが「十分にできている」人はわずか6.3%でした。
このギャップは情報提供の不足、必要な行動をどのように日常に取り入れるかが分からないこと、あるいは美容と健康が別物として捉えられている文化的背景などが影響していると考えられます。調査でも、普段の美容習慣の中で骨の健康のための栄養補給ができるなら「取り入れたい」と答えた人は66.3%に上り、特に美容行動が多い人ほど栄養補給を「取り入れたい」と回答する比率が高くなっています(美容行動が4つ以上ある人では87.2%)。
政策・医療への示唆
今回の調査は、予防医療や健康教育の観点からいくつかの示唆を与えます。第一に、骨の健康に関する基本知識(骨の構成やコラーゲンの存在、閉経期の骨量変化など)を更年期前後の女性に向けて普及させることが必要です。第二に、既に日常化しているスキンケアや紫外線対策などの美容習慣と骨の健康を結びつけたメッセージや商品・サービスの開発が受け入れられやすいという点です。第三に、ヘルスケア提供側(医療機関・保健所・民間企業)は、行動変容を促す具体的な手順の提示や、忙しい成人が取り入れやすい“一体化された”予防策を示すことが求められます。
消費者側の受け止め方と企業の役割
消費者側では、美容と健康を別個に考えるのではなく、日々のケアで両方を同時に達成したいというニーズが示されています。これに対して企業は、製品やサービスの設計において「美容効果」と「栄養/骨ケア」を両立させるアプローチを拡充する余地があります。調査を実施した明治は、この点を踏まえた情報発信と製品提案を行う意向を示しています。
読者への留意点
- 当記事は調査結果を基にした報道であり、個別の医療アドバイスを目的とするものではありません。
- 骨の健康に関する具体的な診断・治療については、医師や専門家に相談してください。
今回の調査は、美容への高い関心を踏まえれば、骨の健康を日常のケアに組み込む好機があることを示しています。見えにくい体の変化をどう捉え、どのような行動を起こすかは個人の選択ですが、情報提供と取り入れやすい対策の提示が進めば、将来的な健康リスクの低減につながる可能性が高まります。
(取材・文:プレスリリースジェーピー 健康担当記者 長谷川 由希)