別府市と県キッチンカー協会が炊き出しで協定
別府市は、大分県内の移動販売事業者約30台で構成する「県キッチンカー協会」と炊き出し支援に関する協定を結んだ。協定に基づき、災害発生時に別府市からの要請を受けて避難所などで食事を提供する体制を整備する。協会は2026年3月に設立され、2015年ではなく、2025年11月の大規模火災を契機に設立準備が進められたという。
代表理事の甲斐誠健氏は、設立の契機について次のように説明した。
「11月の佐賀関の大規模火災で、キッチンカーで炊き出しの要請があったけど、皆さまに準備できなかったという思いがあり設立に向けて準備を頑張ってきた」
協会は既に被災地での活動実績も持ち、熊本地震の際には宇土市と宇城市の避難所で食事を提供した。別府市との協定締結後には試食会が行われ、市長も提供されたメニューを試食して支援の意義を確認した。
機動力と多様なメニューが強み
キッチンカーの利点は到着後すぐに稼働できる点と、停電時でもガスや発電機を利用して調理が可能な点だ。協会にはご飯ものを出す車両に加え、クレープやシェイクなどのスイーツ系の車両も参加している。主催者側は、温かい食事だけでなく、栄養バランスや避難者の気分転換につながる提供ができる点を強調する。
- 到着直後に調理開始できる機動性
- 停電下でも調理が可能な装備(発電機等)
- 栄養面や心理的ケアにも配慮した多様なメニュー
避難生活の課題とキッチンカーの役割
記事で紹介された熊本地震の状況を踏まえると、避難生活の長期化がもたらす課題は深刻だ。報道時点での避難者数は、報告のあった日の午後6時時点で6,092人とされ、避難生活中は停電や断水で調理が制約されるほか、保存食やパンなど同じような食事の継続により栄養が偏りがちになる。
過去の震災では、建物倒壊などの直接死が50人である一方、避難生活やストレスに起因する災害関連死が228人に上り、避難生活の質が生死にかかわることを示している。こうした背景から、温かく栄養のとれた食事の早期提供は、生命と健康を守る観点で重要な支援となる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 協定締結者 | 別府市 と 県キッチンカー協会(約30台) |
| 協会設立時期 | 2026年3月 |
| 協定内容の主旨 | 市の要請に応じ、避難所等で食事を提供 |
| 被災地での実績 | 熊本地震で宇土市・宇城市の避難所で支援 |
地域防災力向上に向けた課題
今回の協定締結は前進だが、実効的な運用には課題もある。想定される課題は以下の通りだ。
- 輸送ルートや道路状況悪化時の迂回ルート確保
- 長時間稼働に対応する燃料・発電設備の安定調達
- 衛生管理、アレルギー対応や栄養バランスの確保
- 自治体側と事業者の訓練や情報共有の継続
甲斐代表理事は、今後も防災訓練などを通じて連携を深めたいと述べており、実際の災害時にスムーズに動ける体制づくりが求められる。
「防災訓練などを通じて災害時にスムーズに動けるよう連携を深めていきたい」
別府市側も、市長が協定の意義を評価し、温かい食事や栄養バランスに配慮した提供が可能である点を歓迎している。今回の協定は、自治体と民間が役割分担して地域の復元力(レジリエンス)を高める一例と言える。
住民にとって重要なのは、こうした体制が実際の災害時に機能するかどうかだ。日常からの情報共有や訓練参加、避難所運営に関する地域の理解が深まれば、キッチンカーの即応力を最大限に活かすことができる。別府市内の防災関係者や住民は今後の訓練日程や協力要請の方法について、市の広報や協会の案内に注目してほしい。
(松田 理恵)