記録的豪雨がもたらした人的・物的被害
17日夕方から降り続いた大雨は、栃木県南部に集中し、特に足利市で大きな被害を生んだ。宇都宮地方気象台の観測では、足利市で12時間雨量が232.5ミリに達し、観測史上最大を記録した。これに伴い市内では住宅浸水、道路冠水、土砂崩れが多発した。
同市小俣町では、住宅の裏手にある山が崩落して土砂が流入、2階建て住宅が倒壊した。消防・警察などが捜索していた18日午後に、現場から心肺停止の女性が発見された。市の発表によれば、当該住宅の住人である60代の夫婦とは連絡が取れておらず、安否が確認できていない。
「建物が倒壊している」
現場には17日午後10時ごろに119番通報があり、消防・警察ら合わせて約30人が捜索にあたった。現場はJR両毛線小俣駅の北約500メートルに位置する住宅街で、18日午前にはドローンなども投入しての確認が行われた。
被害の状況と交通・生活への影響
県危機管理課の集計(18日午後4時現在)では、足利市の住家被害は全壊1棟、床上浸水50棟、床下浸水45棟、未分類46棟の計142棟に上った。栃木市でも床下浸水が確認されている。道路では国道や県道の一部が通行止めとなり、北関東自動車道の足利IC―佐野田沼IC間ではのり面の土砂が本線に流出し一時通行止めとなった。わたらせ渓谷鉄道は全線で運転を見合わせた。
| 項目 | 件数/状況 |
|---|---|
| 足利市・住家被害 | 全壊1、床上浸水50、床下浸水45、未分類46(計142棟) |
| 栃木市・住家被害 | 床下浸水3棟 |
| 観測雨量(12時間) | 足利 232.5mm(観測史上最大) |
避難情報と住民の動き
足利市と佐野市には、県内で初めてレベル5の「緊急安全確保(避難)」の情報が発令され、一時合計で約200人が避難した。レベル5は命を守るために直ちに安全確保を優先する段階であり、自力で安全な場所に移動できない場合は周囲の支援を受けるか消防・警察などの指示に従う必要がある。
足利市内では、雨が収まった後も住宅内に残ったヘドロの除去など住民による復旧作業が見られた。また、浸水した車両内で低体温症とみられる症状を訴えて搬送された例や、49か所で土砂崩れが発生したことなど、被災後の健康管理や生活再建に関する課題も浮き彫りになっている。
- 避難が必要な場合は最寄りの避難所や自治体の指示に従うこと
- 浸水後の建物・家財は二次災害や健康被害の原因となるため、復旧作業は十分な安全確認と装備で行うこと
- 道路や鉄道の運行状況は再開・復旧まで時間がかかることを想定し、公共交通の最新情報を確認すること
今後の見通しと気象台の呼びかけ
気象台は19日も湿った空気の影響で局地的に雷を伴う激しい雨の可能性があるとして、南部を中心に土砂災害への警戒を呼びかけている。被害が出ている地域では、雨が続けばさらに地盤が緩み二次的な土砂災害の恐れがあるため、周辺の斜面や川の様子に注意が必要だ。
また、交通網の寸断は物流や通勤・通学に影響を及ぼす。北関東自動車道の通行止めやわたらせ渓谷鉄道の運休が続けば、迂回や代替手段を検討する必要がある。自治体は被害把握と支援体制の整備を進めており、復旧作業や被災者支援の情報は各市の公表を逐次確認してほしい。
今回の豪雨は短時間に大量の降雨が集中した点が特徴で、豪雨災害の多発化を改めて示した。住民は避難判断の基準や自身の避難行動を今一度確認し、今後の気象情報に注意を払ってほしい。
(小林 直樹・栃木県担当)