アイサンテクノロジー、会員向けユーザー会で実務と開発を接続
アイサンテクノロジー株式会社は、保守サービス「ATM’S」の会員を対象とした定期的なユーザー会を2026年7月10日に福岡市で開き、約20名の参加のもとで製品活用の事例紹介や開発担当者との意見交換を行った。ATM’Sは同社製品向けのサポート体系で、2026年3月末時点で全国約4,200ユーザーが加入している。
当日の会合では、点群処理ソフト「WingEarth」を用いた現況測量や3Dモデル作成の実務的な適用事例が紹介され、参加者からの疑問に開発側が応答する形で双方向の議論が進んだ。また、同社が9月発売予定として紹介した「ANIST-Modeler」のコンセプト説明も行われ、現場でのモデリング効率化に関する関心が高まった。
- 会場:福岡市(現地開催のみ)
- 参加者:約20名のATM’S会員
- 主なプログラム:WingEarth活用事例、パネルディスカッション、ANIST-Modeler紹介
実務寄りの事例報告が示した現場の手触り
参加企業からは、点群データを活用した現況測量やトータルステーションで取得したデータをもとにした3Dモデル作成の具体的な手順や成果が示された。会場からは機能の実務適用に関して具体的な質問や、まだ利用していない機能に対する関心が寄せられた。こうした事例共有は、導入企業が日常業務にどう組み込めるかを判断するうえで有益な情報源となる。
"実務での活用イメージが明確になった"
"使用していない機能について紹介されていて参考になった"
参加者の声は、単なる製品デモにとどまらない「現場目線の活用法」を求めるニーズを浮き彫りにした。こうした実務寄りのフィードバックは、ソフトウェア側が優先的に改良や機能追加を検討する際の重要な材料となる。
開発担当と直接議論、AIや2次元成果物の今後も議題に
登壇企業と開発担当を交えたパネルディスカッションでは、点群データの利用可能性やAIの適用、2次元成果物の将来性といったテーマが議論された。参加者からは「ANIST(R)」への追加機能要望が寄せられる一方で、開発側は技術的な制約や設計思想を説明し、実装可能性についての認識をすり合わせる場になった。
こうした直接対話の機会は、現場の声を開発に迅速に反映させるための重要なプロセスである。製品設計段階で実務者の意見を取り入れることで、現場での運用負荷の削減や導入後の定着率向上が見込まれる。
ANIST-Modelerの紹介と現場への波及効果
会合では、9月発売予定の「ANIST-Modeler」についても開発背景と製品コンセプトの説明が行われた。同社は、点群データや既存の平面図を活用することでモデリング時間の大幅短縮を実現し、「モデリング専門業者以外の業種でも手軽に3Dモデルが作成できる」ことを目標に掲げている。特に、現況地形など測量分野で進展が遅れている領域のモデル化を促進したいという狙いが示された。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象製品 | WingEarth、ANISTシリーズ |
| 会員数(2026年3月末) | 約4,200ユーザー |
| 当日参加者 | 約20名(現地) |
| ANIST-Modeler | 9月発売予定、点群と平面図を活用したモデリング支援 |
モデリングの簡素化は、設計や施工の初期段階での意思決定を迅速化し、現場作業の効率化やコスト削減につながる可能性がある。測量・土木・建設の各現場で、3Dデータの活用が一層進むことが期待される。
意見交換の場としての価値と今後の展望
ユーザー会終了後、九州営業所の担当者による製品デモンストレーションも行われ、参加者は新機能の利用イメージをさらに具体化できた様子だった。会合は配信を行わず現地開催のみとしたため、参加者間での直接的なやり取りが深まり、開発側へのニーズの伝達が密に行われたことが特徴である。
アイサンテクノロジーが継続してユーザー会を開催する意義は、以下の点に集約できる。
- 現場の利用者ニーズを直接収集し、製品開発に反映すること
- 実務事例の共有を通じてソフトウェアの運用ノウハウを蓄積すること
- 新製品や機能の早期理解を促し、導入障壁を下げること
今回の会合は規模としては小規模だったが、参加者と開発側の直接対話が行われた点で質の高い情報交換が実現した。ユーザー基盤が約4,200に達する製品群において、こうした密なフォローは利用定着と技術進化に寄与するだろう。今後、ANIST-Modelerの販売開始後に現場でどの程度の導入効果が確認されるかが注目される。
同社は昨年度から定期開催を継続しており、引き続き会員企業との接点を強化する方針だ。以上の動向は、国内の測量・設計・建設分野におけるデジタル化の進展と、3Dデータ活用の普及に影響を与える可能性がある。