テクノロジー

分散データを横断解析する企業向けAIエージェント提供開始

アクロクエストテクノロジーが、社内に散在する文書や業務システムのデータを統合的に参照・分析する「マルチデータ分析AIエージェント」の提供を開始。非専門者でも対話的に横断分析が可能となり、意思決定や業務対応の迅速化が期待される。

分散データを横断解析する企業向けAIエージェント提供開始
©イラスト AI生成 :編集部/プレスリリースジェーピー

分断された社内データを“つなぐ”対話型AIを提供

アクロクエストテクノロジー株式会社は、企業内に点在する複数のデータソースを横断的に参照して検索・抽出・集計・分析を支援する、新たな法人向けソリューション「マルチデータ分析AIエージェント」の提供を2026年7月7日から開始したと発表した。社内文書や問い合わせ履歴と、業務システムやデータベースに格納された構造化データの双方を対象に、チャット形式のインターフェースで業務担当者が問いかけるだけで必要情報を引き出せることをうたっている。

同社の説明によれば、従来は文書検索が得意なシステムと、構造化データの分析を行うシステムが分離しているケースが多く、業務部門が自らデータ分析を行うにはSQLやBIツールの知識が求められていた。今回のソリューションはこうした実務上の障壁を低減し、利用者が容易にデータ資産を業務判断に結びつけられることを目指す。

機能と運用のポイント

  • 構造化・非構造化データの統合参照:ファイルやマニュアルなどのテキスト情報と、データベースや業務システムの数値データをAIが適宜参照する。
  • 対話型インターフェース:チャットUIを通じ、非技術系の担当者でも自然言語で問い合わせが可能。
  • AWS環境でのセキュア運用:顧客のAWS上に構築・運用でき、アクセス制御や監査ログなど企業要件に応じた運用が可能。

アクロクエストはこれまで生成AI、RAG(Retrieval-Augmented Generation)、AIエージェントに関する設計・構築・運用の実績を積んでおり、今回のソリューションでも顧客ごとの業務課題や既存システム構成、セキュリティ要件に合わせた導入支援やPoC(概念実証)から本番運用、運用改善までを一貫して提供するとしている。

想定される利用場面と効果

同社が示す活用例は次の通りだ。

  • サービス利用状況と問い合わせ履歴を組み合わせ、カスタマーサクセスを強化するケース
  • 既存ドキュメントと業務システムを横断して組織のナレッジを有効活用するケース
  • 製造ラインの稼働ログと設備マニュアルを突合して現場トラブル対応を迅速化するケース

こうした使い方により、部門ごとに散在する情報を組み合わせて初めて見えてくる傾向や問題点を短時間で抽出できる点が利点だとしている。特に、現場での即時判断を必要とする対応や、複数部署にまたがる情報収集を伴う業務において、担当者の作業負荷軽減と意思決定のスピード向上が期待される。

要素概要
対象データ文書(非構造化)/DB・業務システム(構造化)
ユーザー操作チャット形式での自然言語問い合わせ
運用環境AWS上で構築・運用、監査ログ・アクセス制御対応

課題と導入時の留意点

開発企業は本ソリューションにより現場の自律的なデータ活用を促す狙いを示している一方で、導入に当たっては次の点を考慮する必要がある。

  • データ連携の範囲設定とアクセス権管理:複数システムを横断するため、どのデータを参照対象にするか厳密に定義する必要がある。
  • データ品質の確保:分析精度は元データの正確性に依存するため、データの整備・正規化が重要となる。
  • 導入段階でのPoC設計:利用部門の業務フローに照らした短期検証で効果を確認し、段階的に適用範囲を広げることが推奨される。

同社は導入支援を含めた一連のサービス提供を強調しており、単なるAIチャット導入にとどめず、業務要件に即した設計と運用改善までをワンストップで支援するとしている。

企業内データの利活用は多くの日本企業が取り組む課題であり、今回のように構造化・非構造化データ双方を想定したソリューションは注目される。特に、セキュリティやガバナンス要件が厳しい業務領域でもAWS環境内での運用を可能とする点は導入ハードルの低下につながる可能性がある。

アクロクエストの新サービスは、まずは業務領域を限定したスモールスタートから段階的に拡張する導入パターンを想定しており、今後の事例蓄積と導入効果の可視化が普及の鍵となるだろう。企業のデータ活用成熟度に応じた設計で、現場の意思決定を支える“実務的なAI”として定着するかが今後の注目点である。

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