全国のトップコンシェルジュが置賜を「体感」
置賜盆地を一望する十分一山を皮切りに、レ・クレドール ジャパンと日本コンシェルジュ協会の定例会が6月17日〜18日、山形県南陽市・米沢市で開催された。主催側は観光まちづくり法人・プラットヨネザワ株式会社(代表取締役 宮嶌浩聡)や宿泊施設の山形座 瀧波をはじめとする置賜エリアの事業者で、地域の食・歴史・ものづくりを通じて訪問者に提示する観光資源の価値向上を図った。
レ・クレドール(Les Clefs d'Or)は1929年にフランスで結成された国際的なホテルコンシェルジュ組織で、日本では1997年から正式に活動している。日本コンシェルジュ協会とともに、ホテル業界の第一線で働くプロフェッショナルが研鑽を重ねる場として知られる。今回の定例会は、同組織の毎月の会合を置賜で行うという珍しい機会だった。
プログラムの要点と地域資源の見せ方
会合は2日間で、食と歴史文化を中心とした1日目、自然・食・ものづくりに焦点を当てた2日目の構成だった。参加者は現地で生産者や伝統工芸の工房を訪れ、体験を通じて案内や発信がしやすいストーリーを得ることを重視した点が特徴だ。
- 1日目(6/17):十分一山での景観理解、熊野大社門前での地元ランチ、山形座 瀧波での定例会と事業者プレゼン、夜の情報交換会
- 2日目(6/18):松田観光果樹園でのさくらんぼ狩り、高畠ワイナリーでの見学・試飲、米沢牛ランチ、上杉城史苑・上杉神社の散策、米沢織・紅花染め体験
現地で紹介された飲食や体験は、地域の食材・技術・歴史を組み合わせた「案内しやすい」プラン作りを意図しており、欧米のラグジュアリー層がトラベルアドバイザーやコンシェルジュ経由で旅先を決める傾向に対応した施策といえる。
参加者と発表者(主な氏名・所属)
参加したコンシェルジュには、帝国ホテル東京やグランドハイアット東京、シャングリ・ラ東京、パレスホテル東京、ホテルニューオータニなど国内の主要ホテルで活躍する顔ぶれが含まれる。大会の挨拶やプレゼンには、やまがたアルカディア観光局、プラットヨネザワ、YAMAGATA EXPERIENCE、インアウトバウンド東北、湯主一條ら地域関係者が登壇した。
「発信」と「送客」をテーマに、産地・つくり手・物語とともに置賜を体感いただき、置賜を「案内でき、発信できる目的地」へと磨き込むことを目的に実施しました。
地域への期待と現場への示唆
今回のようなプロの案内人による直接体験は、単なる視察にとどまらず次のような実務的な効果が期待される。
- 高付加価値の客層に向けた商品化:体験型プログラムや食の組み合わせが具体的なプランとして売り出しやすくなる。
- 受け入れ体制のブラッシュアップ:宿泊、移動、滞在スケジュールの整備や英語など外国語対応の必要性が改めて確認される。
- 事業者間の連携促進:地域内の事業者が組み合わせて提供する“通しの体験”の設計が進む。
地域事業者にとっては、コンシェルジュに「案内できる」内容を持ってもらうことが重要だ。今回、さくらんぼ狩りやワイナリー見学、米沢織の染色体験といった具体的な体験が組み込まれたことで、訪問者に提示する商品の幅が広がった。
| 日付 | 主な行程 |
|---|---|
| 6月17日 | 十分一山 → 熊野大社門前(地元ランチ) → 山形座 瀧波(定例会) |
| 6月18日 | 松田観光果樹園(さくらんぼ狩り) → 高畠ワイナリー → 米沢牛ランチ → 米沢織見学・紅花染め体験 |
将来的な送客につなげるには、視察での印象を継続的にフォローアップし、コンシェルジュが実際に顧客へ提案しやすい形で商品化することが鍵となる。地域側は価格設定、受け入れ人数、運搬・移動の利便性、季節性の管理など、実務面の整備が求められる。
今回の定例会を契機に、置賜の事業者は外部のプロフェッショナル目線を取り入れた商品改良や広報強化を進めることが期待される。近隣住民にとっては来訪者の増加が地域経済の追い風となる一方で、受け入れ体制の整備や地域資源の保全といった課題にも向き合う必要がある。
今後、具体的な送客の成果や、コンシェルジュ経由での予約・来訪状況が明らかになれば、地域の観光政策や事業者の取り組みの評価につながるだろう。まずは今回の繋がりをいかに持続的な取り組みに育てるかが焦点となる。