国の想定改定で市街地の震度が上振れ
国と県が南海トラフ巨大地震の被害想定を見直したことを受け、愛知県豊田市は11年ぶりに独自の被害予測調査を実施し、報告書を市の公式ホームページで公表した。今回の調査では、これまでの想定よりも市内で予想される揺れが大きくなり、地域によっては最大震度が従来の6強から震度7に引き上げられる箇所が確認された。
揺れで全壊する建物が1・4倍に増えるほか、液状化の範囲が広がるなど、耐震化などの対策が引き続き求められる。
被害想定の主な変化と対象地区
報告書は、2015年に行った前回調査と比較して「過去地震最大モデル」と「理論上最大モデル」の両方で市街地の想定震度が大きくなったと結論付けている。理論上最大モデルでは南部の上郷、末野原、豊南の各地区で最大震度7が想定されるなど、震度分布の強まりが示された。
| 対象地区 | 主な変化 |
|---|---|
| 上郷 | 最大震度が7に到達、低地で液状化危険域が拡大 |
| 末野原 | 最大震度が7に到達 |
| 豊南 | 最大震度が7に到達 |
| 挙母・高岡 | 低地で液状化危険域が拡大 |
建物被害と住民への影響
調査の結果、揺れによって全壊する建物の想定件数は前回に比べて1.4倍に増えるとされた。市内の住宅や事業所にとっては、倒壊の増加は人的被害や避難、生活・営業再開にかかる負担の増大を意味する。被害が集中しやすい地域では、避難経路や応急対策の確保、災害時の燃料・水・医療支援の手配がより重要となる。
- 住宅耐震化や耐震診断の促進が急務になる。
- 液状化の危険が高い低地ではインフラ被害(道路・下水・配管等)や二次災害の懸念が増す。
- 避難所運営や高齢者支援のための地域対策の見直しが必要となる。
自治体の対応と住民が取るべき対策
豊田市は報告書を受け、具体的な防災対策の検討を進める方針と考えられる。市民としては、まず自宅の耐震性を確認し、必要に応じて耐震補強や家具固定を行うことが求められる。特に調査で液状化危険域が広がった低地帯に住む住民は、ハザードマップの確認と避難ルートの再確認を行うべきだ。
市民が取るべき具体的行動例:
- 豊田市の公式ホームページで報告書とハザードマップを確認する。
- 耐震診断や補強助成の有無を市窓口で問い合わせる。
- 家具の転倒防止や非常持ち出し袋の点検を行う。
- 家族・近隣で避難計画を作り、避難所や集合場所を共有する。
背景と今後の課題
今回の調査は、国や県の想定変更を受けて実施された。大地震の規模や揺れの分布を示すシナリオが見直されるたびに、自治体は地域特性に合わせた被害評価と対策の更新を迫られる。豊田市の場合、2015年調査以降の都市化や地盤・地形の再評価が被害想定に影響を及ぼしている可能性がある。
今後の課題としては、以下が挙げられる。
- 耐震化の費用負担をどう支援するか(国・県の補助制度の活用、自治体独自の支援策)。
- 液状化リスクに対する土地利用やインフラ更新の方針策定。
- 高齢化を踏まえた避難計画の実効性向上。
豊田市は今回の報告書を市公式サイトで公開しており、詳細な想定図や区域指定などは同サイトで確認できる。地域の防災力を高めるには、行政の対策と住民の備えが両輪で進むことが不可欠だ。
(池田 修、プレスリリースジェーピー愛知県担当記者)