日本映画の新作3本がトロントで北米初披露
第51回トロント国際映画祭が9月開催に向けた公式ラインナップを発表し、日本の3人の監督による新作が選出された。選ばれたのは是枝裕和、濱口竜介、塚本晋也の各監督作品で、いずれも北米での初上映となる。
トロント国際映画祭は、カナダ・トロントで毎年9月に開かれる北米最大規模の映画祭であり、作品の評価は観客投票による観客賞を中心に行われる。コンペティション制を採らない同映画祭は、上映後の観客の支持がその後の賞レースや配給展開に直接的な影響を与える場として知られている。
今回発表されたラインナップは、ガラ・プレゼンテーションとスペシャル・プレゼンテーションを合わせて64作品。日本から出品される3本はいずれもスペシャル・プレゼンテーション部門での上映となる。
| 監督 | 作品名(原題に準じる表記) | 備考 |
|---|---|---|
| 是枝裕和 | ルックバック | 藤本タツキの漫画を実写化。主演に出口夏希、蒔田彩珠 |
| 濱口竜介 | 急に具合が悪くなる | 第79回カンヌ国際映画祭で女優賞を獲得した出演者を擁する作品 |
| 塚本晋也 | ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか? | ベトナム帰還兵のノンフィクションを原作にした戦争映画。ジェフリー・ラッシュが出演 |
各作品の特色は次のとおりだ。
- 是枝の「ルックバック」は、漫画家・藤本タツキの原作を実写化した作品で、主人公藤野を出口夏希、京本を蒔田彩珠が演じる。
- 濱口の「急に具合が悪くなる」は、既に第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で評価を受けた作品で、ビルジニー・エフィラと岡本多緒が女優賞を受賞したことが紹介されている。
- 塚本の「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」は、実在のベトナム帰還兵の体験を基にしたノンフィクションを原作とし、塚本監督の戦争映画の系譜を継ぐ作品である。作中には「シャイン」で知られるジェフリー・ラッシュが出演する。
塚本監督作の原作となった人物は、18歳で海兵隊に入隊し最前線で多くの命を奪った経験を持ち、帰国後もその記憶に苦しみ続けたとされる。来日後は日本各地でその体験を語り続け、生涯を日本で終えたと説明されている。
トロント国際映画祭は、観客評価がその後の賞レースに影響を及ぼしてきた過去の例をもって注目される。2018年にはピーター・ファレリー監督の作品がトロントで観客賞を受賞し、その後アカデミー賞作品賞受賞へとつながったことが言及されている。今回の上映が各作品の国際展開や評価にどのように影響するかが注目される。
また、今回のラインナップには国際的な話題作も多数含まれている。例としては、ピーター・ファレリー監督によるシルベスター・スタローンの半生を描く作品や、アンソニー・コービン監督、クリス・ロック監督の新作、ダニー・ボイル監督の作品など、国際的な監督とスターが並ぶ。映画祭自体は9月10日から20日まで開催される。
今回の選出は、日本映画の多様な表現が国際フェスティバルの舞台で再認識される機会となる。是枝、濱口、塚本の3監督はいずれも国内外で一定の評価と注目を集めており、それぞれの新作が北米の観客にどのように受け止められるかが注目される。
今後の国際上映や配給、賞レースへの影響を含め、9月のトロントでの反響が日本映画界にとって重要な指標となるだろう。