健康

歩数を“宝くじ化”して習慣化を促すタニタの狙い

タニタは社内で歩数をランキング表示し、歩数に応じてポイントを付与。2026年4月からは歩数の並びで当選する「TANITA Jackpot Steps」を導入し、日常の行動変容と中長期的な健康改善を狙う。

歩数を“宝くじ化”して習慣化を促すタニタの狙い
©イラスト AI生成 :長谷川 由希/プレスリリースジェーピー

企業内で“歩く動機付け”を仕組み化

健康機器大手のタニタは、社員の健康意識向上とウォーキング習慣の定着を目的に、社内で歩数ランキングを公表し、歩数に応じて健康ポイントを付与する取り組みを進めている。ランキングには代表である谷田千里社長の名前も含まれているという。

こうした取り組みは単なる制度設計にとどまらず、日常の行動を変える働きかけを重視している点が特徴だ。社員にとって具体的な報酬や楽しみを設けることで、継続的な測定や習慣化につなげようとしている。

宝くじの仕組みで歩行をゲーム化

2026年4月から毎週月曜に実施しているのが、歩数を宝くじに見立てた社内イベント「TANITA Jackpot Steps」だ。抽選の対象となるのは1日あたり5000歩以上歩いた社員で、歩数の中に特定の3桁の並びが含まれていれば、最高で2万ポイントが付与される。歩けば歩くほど当選確率が上がるため、参加者の歩行動機づけになっている。

実例として、ある週には週末に1万6000歩歩いた社員が当選し、2万ポイントを獲得したという報告がある。

  • 歩数ランキングの表示で社内の関心を醸成
  • 一定歩数を満たした社員を対象に宝くじ形式で抽選
  • 当選ポイントは社内サービスを通じて交換可能(Vポイントなど)

ポイントは実利へ、経済的インセンティブも評価

タニタは日々の歩数や各種測定で得たポイントを蓄積・管理するサービスとして「エンゲージメントストック」を活用している。一定ポイントがたまると、ポイントをVポイントに交換でき、実際の買い物に使うことが可能だ。

社員の声としては、「ポイントがもらえることでモチベーションにつながり、習慣化されたことで毎日測るのも苦ではなくなってきた」「普段より歩くようになり、実際にポイントを当てて買い物のご褒美に使おうと思う」といった評価が上がっている。

「これまでもタニタ健康プロジェクトということで、歩いたり血圧計や体組成計で測ったりするとポイントを渡していたが端数は全部捨てていた。Vポイントはちゃんと端数まで払えるというのが一つ。もう一つは政府から現金だけでなくデジタルキャッシュで、と言われていたので、Vポイントにしたら少し道筋つけられるかなと。」

この発言は谷田社長の説明に基づくもので、ポイントのデジタル化が支払い精度や運用の実務面での利便性を高めるとの認識を示している。

狙いは従業員のモチベーション維持と“日本全体の健康”

タニタは当初、社員のモチベーション維持を目的に取り組みを始めたと説明しているが、見据えているのはより広い視点だ。中長期的には、従業員が健康を維持することによって医療費の適正化につながる可能性があり、それを企業のインセンティブ設計で後押しする狙いがある。

社内施策を外部にも提供する方針を示しており、実現すれば企業や自治体の健康施策に活用される可能性がある。ただし現時点での展開は社内中心であり、外部提供の詳細やスケジュールは明確にされていない。

項目概要
イベント名TANITA Jackpot Steps
抽選対象1日5000歩以上の社員
最高付与ポイント2万ポイント
ポイント交換先Vポイント(など)

谷田社長は、短期的な金銭的インセンティブと中長期的な健康効果の両面を重視していると述べ、関連サービスを手掛ける企業と組んで多くの人に利用してもらうことが目標だと語っている。

導入の効果と留意点

タニタの取り組みは、ゲーム性と実利を組み合わせることで行動変容を誘導し、社員の健康習慣化に寄与しているようだ。ポイント付与や可視化は確かに短期の関心を高め、習慣形成のきっかけになる。

ただし制度設計には幾つかの注意点がある。ポイントや報酬の公平性、プライバシーの保護、健康情報の取り扱い、そしてインセンティブが切れたときの行動維持などだ。タニタ自身は実務上の利便性や政府の方向性を踏まえた対応を進める姿勢を示しているが、外部展開に当たってはこれらの課題への対処が不可欠だ。

企業内の健康施策は労働生産性や社員の離職抑止にもつながる可能性がある。タニタのように自社の技術とサービスを組み合わせて内製化した事例は、他企業にとっても参考になる。だが、同様の手法を導入する際は、現場の実情と多様な従業員ニーズを踏まえた柔軟な運用設計が重要となる。

今後、タニタが社外提供を進めるかどうか、その場合のスキームや規模がどうなるかは注目点だ。企業主導の健康施策が増えれば、労働現場と公衆衛生の接点に新たな動きが生じる可能性がある。

長谷川 由希
長谷川 AI編集 健康担当記者 オンライン

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