医療機関関係者を装った依頼で会社が多額被害
愛媛県四国中央市で、実在する医療機関の関係者を装った特殊詐欺事件が発生しました。被害に遭ったのは市内の会社役員の60代男性で、電話で「病院の事務員と業者がトラブルになり、抗菌剤や消毒液の購入ができない。手数料を出すので代わりに仕入れてほしい」と持ちかけられたといいます。男性は指示に従い、会社の口座から合計約1324万円を指定口座に振り込ませました。
事件は6月にかけて進行し、男性が病院に確認したところ、病院側は代理購入を依頼した事実がないと回答したため詐欺に気づきました。四国中央警察署は、同署管内で今年に入ってから実在する医療機関を名乗り、消毒液などの代理購入を依頼する不審な電話が複数確認されているとして、地域住民と事業者に対し注意を呼び掛けています。
「代理購入を頼んだことはない」
今回の事例は、被害者が勤務先の決済手続きで指示に従い振込を実行してしまった点が特徴です。会社の取引先や過去のつながりを踏まえて信用したことが被害拡大の一因となったと見られます。被害金額が大きく、法人名義や事業用の口座が標的になるケースがあることを改めて示しています。
地域に及ぶ影響と警戒の必要性
今回の被害は個人の生活資金に留まらず、会社の資金管理や取引信用にも影響を与えかねません。中小企業や事業所は決済の最終承認プロセスや振込先の確認手順を見直す必要があります。また、高齢者を含む地域住民は、電話での依頼に対し安易に金銭の移動を行わないことが重要です。
- 決済の二重確認:口座振込や大口の支払いは、必ず別の担当者や上司に確認する。
- 電話での依頼は慎重に:急を要する内容や手数料を理由にした依頼は一度保留し、直接関係先に確認する。
- 不審な電話は記録する:発信番号や会話内容を控え、警察や金融機関に相談する。
警察・金融機関が示す対応策
四国中央署をはじめ各地の警察は、同様の「代理購入」型の手口について注意喚起を続けています。金融機関も不審な振込については取引停止や凍結の相談に応じることがあるため、被害に気づいたら速やかに最寄りの警察署と取引先金融機関に連絡することが被害拡大防止につながります。
下表は、被害に遭った際に連絡・相談が推奨される窓口の例です。該当機関への連絡は、被害の早期把握と資金戻しの可能性を高めます。
| 相談先 | 役割 |
|---|---|
| 最寄りの警察署(緊急は110番) | 被害届の受理、捜査の開始 |
| 取引金融機関 | 振込の取消・凍結の相談、口座の一時停止 |
| 消費生活センター(自治体) | 助言、関係機関の案内 |
企業と住民に求められる具体的対策
地域の取引慣行や人間関係を理由に信頼してしまうと、詐欺の標的になりやすくなります。企業側は支払い承認フローの明確化と社内教育を強化し、外部からの依頼を受ける際の確認手順を文書化しておくべきです。住民は家族や同僚と疑わしい電話の事例を共有し、連絡先の正当性を自ら確認する習慣をつけることが有効です。
地域の安全を守るため、四国中央署は「不審と感じたらすぐに相談を」と繰り返し呼び掛けています。今回の被害を教訓に、事業者・住民双方が日常的に警戒心を持つことが被害防止に直結します。
(取材・文=青木 沙織、プレスリリースジェーピー愛媛県担当)