西宮市とモビマルが防災協定を締結
兵庫県西宮市は2026年7月30日、株式会社シンクロ・フードが運営する移動販売プラットフォーム「モビマル」と「災害時等におけるキッチンカーによる炊き出し等に関する協定」を締結した。協定は地震や大規模停電などの災害発生時に、避難所等でキッチンカーを活用して温かい食事を提供することなどを目的としている。
協定に基づく主な取り組みは次の通りだ:
- 西宮市が開設した避難所等で、モビマルに登録するキッチンカー事業者による炊き出しを実施すること
- モビマル(株式会社シンクロ・フード)が調達可能な食材および物資を西宮市へ提供すること
- 西宮市が提供する米等の食材をキッチンカーで調理すること
同社の発表によれば、モビマルは会員データやAIを活用する移動販売プラットフォームで、2025年11月時点の登録事業者数は1万件を突破し、登録車両は5,500台を超えているという。プラットフォームの一元管理により、外部事業者間で分散しがちな指揮系統の統一が期待される。
市長の認識とこれまでの連携経緯
西宮市長の石井登志郎は協定締結について、発災時に「温かい食事」を提供する重要性を指摘し、モビマルの全国ネットワークと機動力に期待を示した。市はこれまでも本庁舎前広場でのキッチンカー出店などを通してモビマルと連携しており、平時からの接点を踏まえた協力関係が協定締結につながったと説明している。
「避難生活において備蓄品などでは味わえない『温かい食事』を提供し、被災者の心身の健康を守ることは重要な課題」
モビマル側も、2019年のサービス開始以降、平時の移動販売支援だけでなく災害時の支援実績を積んできたとし、2024年の能登半島地震での支援や、2025年6月の東京都品川区との防災協定締結などを挙げている。西宮市との協定は、同社にとっても災害時対応の自治体連携を広げる一例となる。
住民にとっての具体的な影響
今回の協定は、いざという時に避難所で温かい食事が提供される可能性を高める点で、住民の避難生活の質に直結する。温かい食事の提供は栄養面だけでなく、精神的安定にも寄与するとされるため、被災者の心身の健康維持に寄与する効果が期待される。
また、モビマルの登録車両が全国規模で多数存在することを活かし、被災地へ迅速に車両を派遣できる体制が整うと、物流や電力などライフラインが断たれた状況でも食事の供給が継続しやすくなる。ただし、現場では車両の搬入経路、燃料供給、衛生確保、調理に必要な水や器具の手配など、実際の運用面での課題もあるため、これらは平時の訓練やマニュアル整備で詰めておく必要がある。
自治体・事業者にとっての留意点
協定の実効性を高めるためには、以下の点を含む継続的な準備が求められる:
- 避難所側とキッチンカー事業者の受け入れ手順や連絡体系の明確化
- 衛生管理、アレルギー表示、食品の長期保存性に関する共通ルールの整備
- 燃料や調理設備の補給ルートの確保、優先的供給の調整
- 平時からの共同訓練や想定シナリオの共有
こうした準備は市民が安心して避難生活を送るために不可欠だ。協定が形式的なものに終わらず、実際の災害時に機能するかは平時の検証にかかっている。
今後の見通しと市民への案内
市とモビマルは協定を通じて、発災時の迅速な炊き出しや食材提供の実施を目指す。市は引き続き平時から連携を深め、必要な運用ルールや連絡網の整備、共同訓練を行う意向を示している。
住民は、避難行動をとる際に避難所の位置や運営時間、提供される支援の種類について市の最新情報を確認しておくことが重要だ。災害発生時には、自治会や避難所スタッフ、被災者支援の協力団体が現場で情報を出すため、指示に従って行動してほしい。
| 協定締結日 | 2026年7月30日 |
|---|---|
| 協定の主旨 | 災害時に避難所等でキッチンカーを活用して温かい食事提供などを行うこと |
| 主要事業者 | 株式会社シンクロ・フード(モビマル運営) |
| モビマルの規模(2025年11月時点) | 登録事業者数: 1万件超、登録車両: 5,500台超 |
今回の協定は、西宮市が進める本庁舎前広場でのキッチンカー出店支援など平時の取り組みを背景に締結された。災害対応の実効性を高めるためには、自治体、市民、事業者が平時から連携し、運用の実地確認を重ねることが求められる。
(藤田 早紀、プレスリリースジェーピー)