夏の地震で特に注意すべき「暑さ」と「燃料」
真夏の大地震が発生した場合、避難所や車中泊で長時間過ごすことが想定され、被災後の主な健康リスクは熱中症です。愛媛県松山市での取材によれば、避難所の多くが冷房設備を備えていない体育館等になる可能性が高く、屋内外を問わず暑さ対策の準備が必要です。地元の防災研究者は、飲料や塩分補給に加え、車を避難手段兼生活基盤として活用するための燃料確保を強く勧めています。
避難生活では電気や水が使えない状況も想定されます。店舗では充電式ハンディファンや繰り返し使えるネッククーラー、電気不要の冷感タオルやボディシート、断熱マットなどの暑さ対策グッズの需要が高まっています。これらは日常時にも使えるため、普段から備えておくことで被災時の負担を減らせます。
「非常用持ち出し袋には少し多めの水と、塩タブレットなどを入れて熱中症対策を徹底してもらいたい。」
この発言は、愛媛大学防災情報研究センターの専門家の見解を要約したものです。水分補給と塩分補給は、特に高温多湿の状況下での脱水・電解質不足を防ぐ上で基本中の基本となります。
具体的な持ち物・備え(目安と優先順位)
被災時にすぐ役立つ用品を、優先度の高い順に挙げます。以下は被災直後から数日間を乗り切るための実用的な目安です。
- 水:1人あたり1日3リットル目安(飲用・衛生用を含む)。真夏は普段より多めに確保。
- 塩分補給:塩タブレット、経口補水液(ORS)。
- 電源確保:携帯電話の予備充電器、モバイルバッテリー、車からの電源取り出しの準備。
- 冷感用品:充電式ファン、ネッククーラー、冷感タオル、ボディシート。
- 避難用具:懐中電灯、予備電池、常備薬、簡易寝具(マット・寝袋)など。
| 品目 | 推奨量/備考 |
|---|---|
| 飲料水 | 1人当たり1日3L(暑い日は増量) |
| 塩分/ORS | 塩タブレットまたは経口補水液(数日分) |
| モバイルバッテリー | スマホ数回分の充電が可能な容量を |
| 冷感グッズ | 充電式ファン、ネッククーラー等(繰り返し使用できるもの) |
車を「もう一つの避難場所」として使う際の留意点
車中泊はプライバシーの確保や外気の遮断という利点がある一方、暑さ対策と電力の確保が課題になります。エンジンをかけたままの長時間運転は危険ですが、短時間のエアコン運転や、車のバッテリーを利用した給電は有効です。その前提として燃料の確保が重要です。研究者は普段からガソリンをこまめに補充することを勧めています。
具体的には、燃料計の残量が少なくなる前に満タンに近い状態を保つ、さらに長時間の避難を想定してガソリン携行缶の保管を検討する場合は法令と安全基準を守ることが必要です。地域の給油所の営業状況が被災で変わることもあり得ますので、日常的な備えが被災後の選択肢を広げます。
避難所運営側と住民が共有すべきポイント
自治体や避難所運営側は、暑さ対策を含む避難生活の想定を夏季に合わせて見直す必要があります。具体的には、避難所に持ち込める冷感グッズや水の配給体制、熱中症リスクの高い人(高齢者、乳幼児、持病がある人)への優先的な対応が求められます。
住民側は以下を確認しておくと実践しやすくなります。
- 自宅から避難所までの距離とアクセス方法(徒歩、車など)。
- 家族での集合場所と連絡方法。携帯電話以外の安否確認手段も検討。
- 個々の持病や飲んでいる薬の情報をまとめたメモの携帯。
取材で得た教訓は、日常の些細な行動が被災時の安全に直結するという点です。水や塩分の備蓄、携帯機器の充電手段、暑さをしのぐための簡易用品、そして燃料の確保――これらは個々に用意することで、避難所での健康被害を減らし、選択肢を確保します。
夏季は熱中症リスクが高まり、避難生活が短期間であっても深刻な健康被害につながり得ます。行政と地域、家庭それぞれが役割を果たし、事前の準備を確実に進めることが、被災時の被害軽減につながります。
(取材・文/青木 沙織 愛媛県担当記者)