高校生が投票の実務と政策比較を体験
10月に予定される福島県知事選を前に、いわき市のいわき総合高校好間校舎で「未来の福島県知事選挙」と題した模擬選挙が13日に実施された。参加したのは3年生24人。生徒たちは架空の候補者3人による政見放送を視聴し、選挙公報に目を通した上で、隣室に設けられた投票所で投票の手続きと運用を実地で体験した。
投票用紙に候補者名を書く記入、受け付け、投票箱への投票、立会人や投票管理者の役割も生徒が担い、投票の実務を一通り学んだ。模擬選挙の前後では政策についての意見交換が行われ、参加者は投票先を決める際の判断材料や選挙制度の意義を実感したという。
「だれに投票するか決めるのに、考えることが多くて難しかった。10月の知事選には投票に行こうと思っている」
この発言は模擬選挙に参加した生徒の率直な声であり、選挙に関する情報を得た上で判断する姿勢を示している。別の立会人を務めた生徒も「選挙の仕組みがよくわかった。自分が暮らす県の代表を選ぶ選挙なので知事選は投票に行く」と話しており、体験型学習が投票行動の動機づけに繋がっている様子がうかがえる。
背景と県の取り組み
選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのは2016年で、今回の知事選は現行制度下で18歳以上となった高校生が初めて投票できる機会となる。前回(2022年)の知事選の投票率は全体で42.58%、10代の投票率は26.22%であり、10代は20代に次いで低い参加率だった。
県選挙管理委員会は若年層の投票率向上に向けた取り組みを進めており、県内では2012年度から模擬選挙を実施している。2026年度は14校での実施を予定しているほか、SNSで配信する啓発用動画の制作にも若者のアイデアを取り入れる計画だ。県選管事務局の担当者は、県政や震災・原発事故からの復興の文脈も含め、幅広い世代の関心を集める必要性を訴えている。
住民への具体的な影響と留意点
若年層の投票参加が増えれば、政策決定に若者の生活実感や将来観が反映されやすくなる。模擬選挙のような教育機会は、次の点で地域住民にとって意味がある。
- 日常生活に直結する政策(教育、福祉、雇用)への若者視点が政策議論に加わる可能性が高まる。
- 投票手続きの理解が進むことで、選挙日の混乱や手続きミスが減ることが期待される。
- SNS等を通じた啓発が成功すれば、期日前投票の利用促進や情報格差の是正につながる。
一方で、投票行動を持続させるには一度の体験だけでなく、継続的な教育や情報提供が必要だ。学校現場と選管、地方自治体が連携して投票環境を整えること、具体的には期日前投票所の周知、投票所へのアクセス改善、若者向けの分かりやすい公報作成などが求められる。
データで見る投票状況
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 2022年知事選・全体投票率 | 42.58% |
| 同・10代投票率 | 26.22% |
| 2026年度模擬選挙実施校数(県予定) | 14校 |
県内では過去に福島大学構内や郡山市の大学に期日前投票所が設けられるなど、若年層に届く投票環境整備の事例もある。今回の模擬選挙はその一環であり、10月の本番に向けてどの程度の効果を上げられるかが注目される。
今後の見通しと住民への案内
県選管は知事選の告示日翌日から投票日まで、企画した啓発動画を配信する予定だ。若者の発信力を生かしたコンテンツ制作が実現すれば、投票行動の喚起に寄与する可能性がある。住民は告示や候補者情報、期日前投票の場所・時間などを選挙管理委員会の公式発表で確認することが重要だ。
投票の基礎知識や期日前投票の利用方法などは、市町村の選挙管理委員会が案内を行っている。18歳以上の住民は、身分証明書の準備や投票所の場所確認を早めに行うことを勧める。
(山本 拓也・福島県担当記者)