松戸で住民主体の「逃げ地図」作成、上矢切で実施
損害保険ジャパン株式会社と松戸市は、2026年6月13日、千葉県松戸市の上矢切第三町会公民館で住民参加型のワークショップを開き、地域の高齢者を中心に「逃げ地図」を作成した。主催側の発表によると、参加は上矢切第三町会の住民19名で、テーマは水害(洪水)だった。
ワークショップは、松戸市が2022年1月に損害保険ジャパンと締結した「地方創生SDGsに関する包括連携協定」に基づく取り組みの一環で、松戸市危機管理課が運営へ協力したという。今回用いられた「逃げ地図」は、株式会社日建設計の登録商標に基づく手法を取り入れている。
当日は参加者を3つのグループに分け、ファシリテーターの助けを得ながら白地図に自宅周辺の危険箇所や安全な避難経路を書き込み、実際の生活動線に沿って“何分でどこまで逃げられるか”を体感する形式で進められた。参加者からは、自分たちの地域が想定以上に水害リスクの高いエリアであることや、鉄道線路が避難の障害になり得る点などが指摘されたと報告されている。
- 開催日時:2026年6月13日(土)10時~12時
- 開催場所:上矢切第三町会公民館(松戸市)
- 参加:上矢切第三町会 19名
- テーマ:水害(洪水)
ワークショップでは、普段の生活で気づかない避難の障壁や安全な経路が浮かび上がり、グループでの対話を通じて複数の発見が得られたとされる。主催者の説明によれば、住民同士で意見を出し合う過程が、個人の意識を高めると同時に地域ぐるみの災害対応力の底上げにつながるという。
「自分たちが住む地域が、想定以上に水害リスクの高いエリアであることを改めて認識できた」——参加者の声
自治体と企業の連携によるこうした取り組みは、単発の訓練にとどまらず継続的な展開が課題となる。損保ジャパン側は今回の自治会単位の開催を皮切りに、他の自治会への展開を目指すと明言している。また、同社は「HIKESHI DNA 2030 Project」により防災・減災分野での活動を強化するとしており、松戸市内での今後の協働が期待される。
地域住民にとって今回のワークショップが持つ意義は明確だ。地図上で危険箇所を可視化することで、避難の際に通ってはいけない箇所や代替経路を具体的に把握できる。とくに高齢者や身体に不自由がある住民は、実際に歩いて確認することが難しいため、住民同士の共有が命を守る行動につながる。
住民・地域団体が今後取り組むべき点は複数ある。まず、ワークショップで抽出された危険箇所や避難経路の情報を自治会や町会で継続的に更新する体制を整えることだ。次に、避難時間の見積もりや集合場所の決定、何分以内に到達可能かを基準にした避難計画を地域で共有することが必要である。さらに、鉄道や幹線道路などの大規模な障害を想定した避難ルートの多様化も重要だ。
| 想定テーマ | 主な議論点 |
|---|---|
| 水害(洪水) | 危険箇所の特定、避難時間の試算、線路や道路の障害確認 |
実務面のアドバイスとして、今回のようなワークショップに参加した住民は以下を確認しておくとよい。
- 自宅から最寄り避難場所までの所要時間を実測または記録すること
- 日常の通行路が水害時にどう変化するかを家族や近隣と共有すること
- 高齢者や要支援者の早期避難の手順を自治会で定め、連絡網を整備すること
松戸市側と損保ジャパンは、今回の成果を踏まえ自治会単位の展開を進める方針だ。地域の特性や高齢化の進展を踏まえると、こうした住民参加型の取り組みは、実効性のある減災策として位置づけられる。市民一人ひとりが自分の住む場所の危険性を理解し、具体的な避難行動を身に付けることが、被害を減らす第一歩である。
松戸市では今後も、危機管理課と連動した住民参加型の取り組みが重要になる。今回の上矢切でのワークショップが他地区へ波及し、地域ごとの実効的な避難計画につながることが期待される。住民は自治会や町会の告知を注視し、次回開催時には参加を検討してほしい。
(取材・文・山田 香織/プレスリリースジェーピー千葉担当記者)