是枝裕和監督最新作がヴェネチアのコンペに選出
是枝裕和監督が監督・脚本・編集を務めた実写映画『ルックバック』が、第83回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式に選出された。原作は藤本タツキ氏の同名漫画で、ダブル主演は出口夏希と蒔田彩珠が務める。世界的な映画祭のコンペティション部門への選出は、日本映画と原作者双方にとって国際的な注目を集める機会となる。
本作は小学生時代から始まる二人の13年間を描くドラマで、撮影は主に秋田県にかほ市で四季を通じて行われた。是枝監督は1995年のデビュー作『幻の光』以来、ヴェネチアとの関係が深く、今回が7年ぶり4度目の参加、コンペ部門への選出はこれで4度目となる。
「ヴェネチア国際映画祭という特別な場所に、是枝監督と一緒に行けると聞いてすごく嬉しいですし、とてもワクワクしています。」
国際配給と公開予定
本作はすでに台湾、香港、韓国での公開が決まっており、北米では配給会社GKIDSとの合意によりアメリカ、カナダ、イギリス、アイルランドでの配給が発表されている。日本国内での劇場公開は9月11日に予定されている。ヴェネチアでのワールドプレミア後、国際的な舞台での評価が日本公開にも影響を及ぼすことが見込まれる。
- ヴェネチア国際映画祭:イタリア時間で9月2日〜12日(会期)
- 日本公開予定:9月11日
- 既に決定している地域での公開:台湾、香港、韓国、北米(アメリカ・カナダ)および英・愛など
是枝監督と原作者、キャストの関係性と制作背景
是枝監督は今回、原作への感謝と自身の覚悟を公にしている。監督自身の言葉からは、コロナ禍での創作や職業観の揺らぎを経て、藤本氏の原作が制作の出発点になったことが示されている。試写の場面に関する報告では、原作者と監督、スタッフ、キャストの間で感情の交差が見られ、地方ロケ地に関わった関係者の反応も伝えられている。
出演者はダブル主演のほか、藤野の幼少期役を七瀬ふうり、京本の幼少期役を岡田六花が務め、撮影クルーは秋田のロケーションを重視して四季を追って撮影したことが強調されている。地方での長期ロケが作品の映像美に寄与している点は、国際映画祭での評価につながる要素とみられる。
歴史的経緯と国際的意義
是枝監督は1995年にデビュー作『幻の光』でヴェネチア国際映画祭の金のオゼッラ賞を受賞して以来、同映画祭とは長い関係を持つ。2017年には『三度目の殺人』、2019年には『真実』がそれぞれコンペティション部門に選出されており、今回の『ルックバック』は7年ぶりの参加となる。こうした経歴は監督個人の国際的信頼度を示すと同時に、日本映画の国際的なプレゼンス維持にも寄与している。
| 年 | 作品 | ヴェネチアでの位置づけ |
|---|---|---|
| 1995 | 幻の光 | 金のオゼッラ賞受賞 |
| 2017 | 三度目の殺人 | コンペティション選出 |
| 2019 | 真実 | コンペティション選出 |
| 2026 | ルックバック | コンペティション選出 |
影響と今後の注目点
本作のヴェネチア選出は複数の側面で重要性を持つ。第一に、漫画原作の実写化が世界の主要映画祭で高評価を得ることで、日本の漫画原作映画の国際的評価がさらに高まる可能性がある。第二に、是枝監督の国際的立場は、国内外の配給や評価に直接的な影響を与える。第三に、地方での四季を生かした撮影と地元関係者の関わりは、地域ロケの価値を再評価する契機になり得る。
また、原作漫画『ルックバック』の無料公開キャンペーンが集英社の「少年ジャンプ+」で7月24日〜31日に実施されることも発表され、公開前の関心喚起と原作リーチの拡大が図られている。ヴェネチアでの上映結果や批評家の反応は、日本公開直前の国内プロモーションや興行成績に影響を与えると予想される。
ヴェネチアでのワールドプレミアを経て、『ルックバック』が国際的にどのように受容されるかは、是枝監督のキャリアと日本映画界にとって重要な注視点となる。