従来の保険証が使えなくなる対応と窓口の混乱
8月1日から従来型の健康保険証が医療機関の窓口で利用できなくなり、保険適用を確認できない場合には一時的に医療費を全額自己負担(いわゆる“10割負担”)で支払ってもらうケースが発生しています。都内の診療所での取材では、患者が慌てて窓口で説明を受ける様子や、医療機関側が後日の返金手続きで対応する場面が見られました。
医療機関の実情と患者の声
取材に応じた医師は、従来の紙の保険証を提示して来院した患者に対し、「8月1日以降は使用不可だと確認できたか」と尋ねると、認識していないケースがあったと説明しました。ある患者はマイナンバーカードを登録していたものの、従来の保険証がまだ有効だと思っていたと述べています。
「見せてもらった(従来の)健康保険証。これが8月1日から使えなくなった。ご存じでした?」
また、資格確認手続き中のケースでは、新たな資格確認書が届くまでに時間がかかるため、窓口でいったん自費扱いとなる場面もありました。診療所側は、領収書を保管しておけば資格確認書が届いた後に返金できる可能性が高いと説明しています。
誰が通常の自己負担で受診できるか
現状、窓口で通常の自己負担割合(年齢や所得による1〜3割など)で受診するためには次のいずれかが必要です。
- マイナンバーカードと一体化された「マイナ保険証」を提示すること
- マイナ保険証を持たない人に発行される「資格確認書」を提示すること
いずれも提示がない場合、窓口では医療費を全額支払ってもらう取り扱いになると、診療所側は説明しています。
電子証明書の有効期限に伴う注意点
マイナ保険証に関しては、電子証明書の有効期間切れにも注意が必要だと医師は指摘します。電子証明書は5年で期限が切れ、その後さらに約3カ月を経てマイナ保険証の利用が停止される仕組みがあり、利用者側の更新手続きの遅れで窓口対応が必要になるケースが増えています。
被災者や高齢者の受診をどう確保するか
熊本地震による被災者など、マイナ保険証や資格確認書を提示できない事情がある人に対しては、厚生労働省が氏名や住所などを医療機関に伝えることで受診を認める対応を取ると説明している旨が示されました。被災地などでは書類の紛失や通信環境の問題で提示が困難なケースが想定されるため、行政側と医療機関の連携が重要になります。
| 状況 | 窓口支払 | 補足 |
|---|---|---|
| マイナ保険証提示 | 通常の自己負担 | 問題なし |
| 資格確認書提示 | 通常の自己負担 | 発行待ちの際は申請中であることを確認 |
| 提示なし | 一時的に10割負担 | 後日、証明ができれば返金対応の可能性あり |
現場で求められる対応と注意点
取材した診療所では、窓口での混乱を避けるために次のような対応が示されました。
- 受診前に保険証の種類と有効性を確認すること(患者への周知)
- 資格確認書やマイナ保険証の申請・更新中は、領収書を保管するよう案内すること
- 被災や紛失など提示が困難な事情がある患者には、行政が示す代替的な対応を活用すること
一方で、医療現場は返金や追加手続きを巡る事務負担が増加すると予想され、患者と医療機関双方の理解と協力が必要です。
医療機関と患者双方のポイント
医療機関は、窓口対応マニュアルの整備や問い合わせ窓口の周知を進めることが求められます。患者は自身の保険証の種類や有効期限を今一度確認し、マイナ保険証を持たない場合は資格確認書の発行手続きを速やかに行うことが望まれます。特に電子証明書の期限が近い人は更新手続きを忘れないよう注意が必要です。
今回の運用変更は、医療の受けやすさと事務的正確性を両立させるための措置ですが、実務面では当面の混乱が避けられません。保険証の提示方法や資格確認の手続きについて不明な点がある場合は、加入している健康保険組合や厚生労働省の案内窓口に確認することが推奨されます。